MC

発声は、彼女の癖であるドレミファソ～と歌う時に、コツコツ当てるのを少し直す練習をした。
コツコツ当てることも悪いわけではないのだが、滑らかに息だけで廻すことも基本的に覚えて欲しいのである。

曲はダウランドから3曲。前回と同じく。
2点C～Eくらいが、まだ音程が♭気味になるところがある。
指摘すると、たちどころに直るので、音程感に対する馴れ、とも言えるだろうか。
あるいは、発声できちっと当てる意識を持ったことによる、変化、とも言えるだろうか。
いずれにしても、中音域の音程感は丁寧に処理して欲しいところ。

ゆったりした曲、速くてリズミカルな曲、という2つの違いが3曲には在るから、
歌う意識でも、その違いを良く出して欲しい。

パーセルの2曲は、特にDear pretty youthは、前回指摘の通りだが、ピアノと合わせた時に
声のバランスがどうか？もう少し声が通ると良いかもしれない、という印象。
後は、内容をもう少し声に表せると良いだろう。単に演技という面だけで捉えても良い。

一方、Evening hymnは、とても良い。ただ、これも2点C～Eの当りの音程は高めに意識すること。後半のメリスマは良くブレスが伸びている。
DearのDの子音ははっきりと。それだけで、この声の質が良くなる。

彼女はなかなか器用で、色々歌えちゃうのだが、特にソロで歌う場合、声の通りや、音程が
伴奏との兼ね合いで、もろに前面に出てくるから、その点だけ今は大事に意識して欲しい。

TK

今日は発声練習から声がすっきり出ていなかった。
息に勢いがないというか、喉がど～んと落ち着かないというか。
微妙な違いだが、体調などもあるのだろう。

調子が出ないと、大体喉から下にばかり意識が行くのではないか？
もう少し上顎から顔面に響きを持って行く意識を忘れないように。
もちろん、歌う重心はしっかりと腰に意識を

今日もバッハのカンタータを５番～７番まで練習。
それにしても、バッハのカンタータのアリアは難しい。
独特の半音階的な動きは難しいが、良く譜読みできている。
それよりも、苦手なZ系の子音は、もう少しはっきり意識出来ると良い、という印象。
子音がはっきり出せない分、喉が本当の意味で開けていない、という気もする。

いずれにせよ、もう少し子音をきちっと扱うことを習熟してみてはいかだろうか？

SM

今日は、声の調子はすこぶる良く、良い声が聴かれた。
声よりも発音を徹底して勉強してもらった。
きちんと発音して歌うだけで、歌全体が見違えるようになる。

特に彼女の場合気を付けて欲しいのが、SとZの発音である。
前者はSi とかCieuxなどのように、日本語にはほとんどない発音のSである。
それから、Tes yeuxなどのように、前述のSが濁った場合も非常に気を付けて欲しい。

それから、もう一点はリズムである。
やはりグノーのSoirで、何度も練習したが、出だしのアウフタクト。
単純な8分音譜から4分音符に移行する、タンタ～ンというリズムを
Le soirという言葉で表している。
概ね、8分音譜のLeが短く16分音符になってしまう。
なぜかというと、Soirのwaの二重母音的な発音に拘泥したからであろう。

ところで、歌ではなく、発音だけ、あるいは発音付きのリズム読みをしてから歌うと
非常にきちっとした歌になり、良いのだが、怒ってテンションの上がった歌に聞こえるところがあった。

これは、悪いことではなく、彼女の普段の「歌う」こととの違いを良く表していると思う。
直感的に自分の感覚で気持ちよく、何となくメロディ気持ち良さを歌うだけでなく、歌詞をはっきり伝えようとする意志が、実は歌声にも良い意味で顕れる良い証拠だと思う。
俗に言う、「腹から声を出す」というのは、このような面にも意味があると思う。
L’absentは、声がこの曲に合っていて、雰囲気が良く出せている。
こちらも発音には充分注意して欲しい。
ミカエラのアリアは、これも発音。特に出だしのレシタティーヴォの部分は、語りであるだけに、歌うのではなく、語る意志をはっきりと出して欲しい。
高音は良い感じなのだが、少し喉に負担になっているようである。
もう少し開いたところで、声を出す感覚がわかると良いのだが、練習の積み重ねを待ちたい。

MM

発声練習は下降形で始めた。
やはり下降形で2点Dからだと、喉が高い。
歌う身体つきも、腰高な印象。
あるいは、後ろより前に重心が来て、ややお腹が出たような感じ。
歌う重心が決まらないのではないかな？

全体に背中から腰、というように背面に意識を持ったほうが良いのではないか。

声が温まれば全体に安定した歌唱になったことは確かである。
ただ、身体使い、特に顔面の筋肉の足りないのはまだまだである。
最終的に、アリアの最後の高音の伸ばしが♭になるのを、かなり練習したのだが
相当意識してなんとか、という線に到達した。

そして、もう少し上に引っ張り上げる意識、というのをやってみるのだが、効果の現れ方も
微細であることから、単純に、本人が思ったよりやらなければならない、というように思ってもらいたい。

見ていても、目とか目の周囲の開き方が足りない印象である。

曲は前回から始めたグリーグのIch liebe dichから。
声、というより子音、特にLが舌の動きが足りない印象。
これも、声に関係あるので、良く動かして処置することになれて欲しい。

シベリウスの歌曲は、流れればとても良く歌えている、という印象。
こちらもピアノがとても難しいので、伴奏が付かないと何ともいえないところもある。

プッチーニ「妖精」のアリアは、前述のように、最後の高音のPPの声、伸ばしが決まれば良いと思う。特に強音の高音は、大分良い響きが出せるようになってきている。