TMK
プーランクのCe doux petit visage
これが、一番声の勢いがあって、清々しい。
この曲に限らないのだが、ピアノは彼女の語りを下支えする必要があって、それは出すぎてもダメだけど
弱すぎてもダメ。その辺の頃合は難しいが、歌を良く聴いて弾く事で、サポートを意識して欲しい。
2曲目のCimetiereは、歌手が少しピアノを気にしすぎだろうか?
自然に良いアンサンブルが出来れば理想だが、なかなか現実は難しい。
基本的に歌う人が歌いたいように歌う、のが一番間違いないのである。
歌い方が判らない、と言う人は別だが、彼女は歌いたくて歌うわけで、後は思い切り自分を出せれば良いのである。
それが出れば、自然にピアノはそれをサポートしてくれるから。
Le dieux veux me resuciter…は、思い切り良く天に向って歌おう!
Au paradis je monteraiの後のピアノの和音は、ペダルを綺麗に切ってから
Rose blanche avec un imbe doreは、和音の響きのニュアンスに気を付けて!
コーダ部に入る、Si mon marinは、ピアノを気にしないで、In tempoで自由に入って欲しい。
Sur ma tombe il vient aupresは、情熱的に歌って欲しいし、ピアノも一緒だ。
Violonは、一言で言えば酔っ払いの歌なので、要は腹がしっかり座っている必要がある。
自信がない、ということはあり得ない。
ハキハキと、自信たっぷりに、強く、であろう。
特に問題は感じないので、思い切り歌って欲しい。
Fleurは、難しいことは言わない。ブレスだけはしっかり集中して歌おう。
何となくやっていることは、自然さにつながりはするのだが、それだけでは対処しきれない難しさがあるから。
とにかくブレスである。
全体的には、心配な箇所がないが、くれぐれも自然体で、思い切り声を出すこと、である。
声は抑制すればするほど、悪い面が露わになるので、細かいニュアンスを出そうとしないで、思い切り歌うことが成功への秘訣だろう。
TF
シューベルトの歌曲から。
Seligkeitと
見ているとやはり鼻腔よりも喉あるいは気道辺りに共鳴域を作る発声に見て取れる。
そのことが、物凄く息を使う発声になっているの原因ではないだろうか?
一言で言えば、とても効率の悪い発声なのだろう。
それは身体の使い方なのか?あるいは発声器官の使い方だけ、なのか?
卵が先かニワトリが先か?ではないが、相関関係にある、身体全体のあり方、立ち方、姿勢と
発声器官の問題を分けた方が良い、と思った。
正直言うと、なかなか時間のかかる課題なので、難しい。
間近に迫る本番を目指すなら、シンプルに、それでいて、根本的なことを課題に考えてもらいたい。
とにかく、歌を歌う力を出すための姿勢が、良くないことが一番大きいと思うので
今日は寝た姿勢で歌うことをやってみた。
床にゴロンと仰向けになって寝る。
その時、恐らく彼女のような姿勢、あるいは身体の硬い人は、腰が床から少し浮くと思う。
本当は寝ても腰が浮かないのが理想だが、浮いてしまう場合は、足の膝を立てたほうが良いだろう。
そうして、顔も上を向かないで、真っ直ぐ前を向くようにすれば、首筋、うなじが床に一番近い位置になるだろう。
その姿勢で歌ってみる。
そうして、日本歌曲の「悲しくなったときは」を歌ってもらった。
一番良くなった点は、ブレスが自然に伸びること、そして、中音域の声が、例えばウなどの♭になりがちなものが、
まったく自然に音程が良くなること、であった。
息が自然に出せるので、フレーズを気持ちよく歌っている印象が強いのである。
ここでは理屈は書かないが、仰向けに寝たときの姿勢というのは、腰から背中、そしてうなじから頭にかけてが
まったく、ストレス無く真っ直ぐな状態になれるのである。
結論から言えば、立った時でも、そういう姿勢が取れることで、歌う力を腰から出しやすいし、発声器官の問題としても
呼気の通りやすい自然な姿勢になるのが、寝た姿勢だろう。
いきなり立っても、応用が効かないので、座っても出来るかどうか?
練習になるだろう。
そして、彼女の場合一番問題なのは、腰を外に反リ出して身体を支える、いわゆる出尻になっていること。
安定はするが、歌う器官を働かせる部分が非常に働き難い姿勢である。
腰を逆に中に入れるように立つことで、自然に丹田に力が入るからこそ、横隔膜の力を歌声に繋げられるのである。
根本的なことなので、もう一度今日の姿勢を検証してみて欲しい。
FA
発声は今日も2点C~Fの間のチェンジを練習。
大分口の使い方に工夫が見えて良い傾向だ。
後は、実際の声にどれだけ反映されるか?という点にある。
ドレミファソよりもドミソの方が、チェンジの感覚が判り易いので、ドミソでやってみる。
そうすると、やはり一番高い声が、締まってしまう。
それで、今度は一番高音の声だけをいきなり出してみると、これが自然にチェンジさせられるわけである。
それから応用して、下の低音から上がっても、その良い響きに入れるように工夫してみる。
概ね、チェンジ前の声は、出し過ぎなのだ、と思える。
その頃合が判ると、恐らくもっと綺麗にチェンジして良い響きになるはずだ。
とにかく基本的に声は良く出るようになったし、チェンジの声ももう少し!の感じなので、頑張っていただきたい。
曲はダウランドのSorrow stayから。
中音域に集中した語りの歌で、彼女の今の声にピッタリである。
その音域はとてもよい声で歌えているし、雰囲気がピッタリはまっている。
時折出てくる、最高音の2点Dの響きは、今度は弱すぎないで息を強めにしてみると、下の伴奏とのかけあいで綺麗。
だが、この音形の繰り返しは、強弱を付けるべきだろう。
プーランクLa courte pailleを全曲歌ってみた。
前回よりも、低音域も綺麗に出ているし、中高音域もしっかり出ている。
ただ、中高音域の出し方に特徴があって、未だ力みが気になる。
喉が高いような、締まった様な感じである。
少し軽く出す程度にすることと、もう少し発声を深くする意識が良いのでは?
それから、やはり中高音域のフォルテの声が、気になる。
喉が締まるので、もっと開く意識と、お腹をしっかりさせて出すこと。
ブレスから意識して欲しい。
彼女も、この曲集のLuneを仰向けに寝て練習してみた。
そうすると、特に中低音は響きに膨らみが出るし、中高音も特徴的な締りが少なくなるようであった。
彼女の弁によれば、顎の力みがあるようだ。
それであれば、発音を少しだらしなくても良いから、舌や顎を脱力させて、発声することを
特に中高音域で意識してみよう、と思う。