KM

本当に時々しかレッスンしていないのだが、今日は伸展があって良かった。
高音、特に2点E~Fから上が出せない声が、ちょっとした姿勢の変え方で出せるようになった。
いわゆる「喉が上がる」状態になってしまい、締まって出せなくなっていた。

色々な経過があるのだが、顎を充分に引いておいて、喉の上がりを抑え込むのが上手く行って、
ぽ~んと抜けて少し共鳴を伴って出せるようになってきた。

そこまでコンコーネの15番~16番も良く譜読みできたし、声も高音の対処を一所懸命勉強した。
非常に初心者のレベルなので、単に喉が苦しくなる音域になり始めたら、良く口を開けるということを教えたのだったが、これがタイミングが悪かったり、他のこと、例えば譜面に集中していると、とても口の開け方を調節するのは難しい。

それで、最後にVoi che s’apeteを練習し出すと、とてもではないが、この曲の高音が出なくなってしまうので、姿勢、特に顎の出る姿勢をきつく直したら、それが功を奏したわけである。

感覚的な問題なので、積み重ねないと、直ぐに忘れてしまうだろう。
ただ、高音など、声の問題を解決するには、1曲の歌を歌う場合でも、譜読みはきっちり出来ていること、そして大切なのは、歌詞を問題なく、スラスラと読めることである。

したがって、イタリア語の読みをまず朗読からしっかり始めておいて、馴れたらリズムで朗読してみることは良い練習になると思う。

FA

発声は下降形で始めてから、上向形でスケール、アルペジョで2点Asまで。
概ね声のチェンジの具合は良くなってきている。
呼気もしっかり出せると、支えのある声になっているのだが、あとはこれ声帯にもう少し間隙が出来て、共鳴が高くなると、もっと良い中高音の声になると思う。
これは、喉の脱力や舌の脱力と関係あるだろう。

曲はHahnのOffrandeから。
どうしてもピアノの和音だけで、音が少ない伴奏なので、歌もそれに合せて、ゆっくりになりすぎてしまう点を気をつけて欲しい。
それは、歌詞の語り具合で帳尻を合わせるということ。

語り具合の調節は、ディテールで言えば、4分音符と8分音符の扱いの違い。
均等に器楽的に扱うのではなくて、鼻母音や、長母音化した母音をより長く扱う代わりに、
短い音符をもっとスラスラと進ませてやることで、前述の語り具合が出てくる。
今日はとにかく朗読を一通りして、歌ってみた。

最後に、Quand la nuit n’est pas etoieleeを。
譜読み、或は朗読で、練習。
全体にピアノの音が分厚いし、この曲では声量をしっかり出さないといけないだろう。
朗読時に、喋る言葉の響きも、しっかり喉を開いて胸に響かせる意識で練習をした。
決して低い声というわけではなく、トーンが高くても喉を開いて胸に共鳴させられると、特に鼻母音などでは、歌声においてもとても有益である。

NS

発声練習は下降形で軽く始めてから、上向形でドミソ、ドレミファソ、など。
3点Cまで。
1点bとか2点Cなど、出し難いところも上手く対処できているし、高音も綺麗に押さない声で出せていた。
全体に滑らかで無理の無い発声が光っている。

曲は、フォーレのChanson d’amourから。
声は良い声を出しているのだが、発音が大雑把である。
特にE muetの母音が、Eになってしまったり、Lの子音の処理が不味いため、おかしな語感になってしまう。

O ma rebelle, O ma faroucheなどのコンマの前のEだが、歌なので母音にしても良いのだが、
Lの子音の処理が日本語のままなので、カタカナ読みのルに聞こえてしまうのが難である。
この場合は短い処理なので、母音を意識しないで、むしろLの子音だけの処理にして結果的に無声子音の処理にしたほうが、かっこよいと思う。

Sylvieは、これも綺麗な声で気持ち良さそうに歌えているのだが、やや、この曲本来の繊細さに欠ける感がある。
バラやひまわりの花ではなく、スミレなどの野の小さくも美しい花をイメージして欲しい。
もう一度歌詞をよく読んで、ニュアンスやフランス語の語感を感じて欲しい。
VeuxなどのEUの発音は、エを意識すると概ね上手く行くと思う。

最後にデュパルクのChanson tristeを。
これも、彼女に任せていたら、テンポがとても速くなってしまった。
基本テンポは月の見える夏の夜空と青黒く澄んだ空を思えば自然に決まるだろう。
後は曲中のテンポの変化とか、声の強弱、特にメッザヴォーチェ、言葉の語感など、細かく指示をした。

少女のように純で無垢な歌を歌う人だが、純で無垢なだけでなく、陰影など感じて、しなやかに歌えるように。
歌詞は、発音も含めて旋律や発声と同じくらい重要な要素であるので、大切に勉強して欲しい。