TK
細い声で始まる発声だったが、歌うに連れて調子は出てきていた。
バッハのカンタータ、いつもの6番~8番を練習。
6番は、譜読みも進んで譜面的にはまったく問題ないが、歌詞がまだ歌えていない印象。
今日は子音の扱いを少し注意したが、やはり単に子音というよりも、歌詞、言葉を大切に扱う意識を持つことで改善されるであろう。
ドイツ語の発音がどのような特徴で、響きがあるか?ということにこれから留意して行くと良いだろう。
特にZの発音には、充分注意して欲しい。母音としては、Uの発音である。
それから、下顎がもっと柔軟に使えるようになると(下がる)喉がもっと開くのではないだろうか?
響きの調音点がしっかり決まっているので、良くも悪くもそこから離れられないために、母音の響きが全般に狭く一律になる。
それが、声の響きの幅を小さくしているのだろう。
響きとしては前に良く出るが、低音が出にくいのもそのことと関係がある、とは思う。
後は地声とのミックスがもう少し進むと中低音が出やすくなって、良いとおもうが、これも時間がかかるだろう。
7番~もほぼ同じ問題で、8番は譜読みにもう少し時間をかけたい。
WH
夏休みを挟んで少し間が空いたが、発声の声はとても良かった。
ただ、高音に入ると上半身、特に肩の辺りがコチコチになるのが気になる。
意識して、身体を揺らしたり力を抜いてみると良いだろう。
要するに、本人が思うほど力を入れなくても、高音の良い声は出るのである。
ベッリーニのSon vergin vezzosaから。
声の扱いはほぼOKだ。特に後半の細かい半音階で降りるフレーズは綺麗。
最後の高音もしっかり出ている。
前半のモチーフから中間部までの導入部分が、表現不足というか、遊びがもう少し欲しいところ。
シャモニーのリンダは、難しい。特に後半の高音は、ブレスポイントをしっかり決めて歌わないと、ブレス不足で、高音が力不足になってしまう。
また低音から高音域に伸びるフレーズは、低音で息漏れが出ないように、低音を飛ばそうとしないで、顔面で当てるだけで良い。
その上で最高音で息がもっとも乗るように、配分を考えよう。
後はレシタティーヴォが難しい。言葉の朗読があって、その上で楽譜どおりのリズムを確認してから、朗読とリズムのすり合わせをしよう。伴奏が付いていないところは、大体が早めである。
最後にパーセルのEvening hymneを練習。間が空いてしまい、リズム読みに苦労してしまった。
近代の記譜法と違って、長い音符で欠いてあるので読み難いのは読み難いだろう。
もう一度リズムからしっかり読み直して練習して欲しい。
そうでないと、声もしっかり出てこないから。
ただ、今の時点でもブレスは随分と長くなっているから、先々楽しみである。
TT
発声は特に高音域の喉の暖まりは、いつも通りで温まるのに時間がかかるが、問題はなかった。
曲は、シューベルトの「夜の夢」から。
音域的にも声の問題はない。譜読みも出来ている。
強いて言えば、かなりゆっくりのテンポであるが、それよりも歌詞を歌っている意識を忘れないように。
その範囲でゆっくり、というテンポがベストであろう。
それが確実になってから、更にブレスの長さに合せて、器楽的な歌い方を研究されてはいかがだろうか?
最初から器楽的だけでやろうとすると、やや無理があるし、歌詞のニュアンスがすっ飛んだ、悪い意味でのクラシック歌唱にならないで欲しいものである。
最後に夜の女王を練習。
取り合えず歌えるだけでも、大したものだが、最高音はほとんど息切れになっている。
この音域を歌ってみると、やはり喉の開きと上の開きの訓練は未だ足りていないのだろう。
ただ、今は難しい発声の技術と捉えるよりも、とにかく歌いこむことが必要。
身体が徐々に馴れて、自然に身体が発声を覚えて行けると思っている。
MC
彼女の場合、発声としてはもう少し中高音~高音域前半辺りの声の音色を考えたい。
個性的だが、やや平たい印象がある。
正直にそう思うが、そのこと自体は本人の好みがあるから、あまりうるさくは言いたくないところ。
少し喉を開いた声、そのために深みというか奥行きのある声質~が、感覚的に受け入れられるかどうか?
曲はダウランドの、Come again,Come hevhy sleepの2曲から。
Come againは、彼女の言うとおり少しテンポを落として歌うほうが、シットリして良い。
この曲は何となく速く元気良くなってしまう点に注意なのだろう。
Come hevy sleepは、彼女の声質が一番気になる。
少し子供っぽい感じ。
だが、これも発声の理屈よりも、そういう内容を意識して歌うことだけでかなり変わって行けるだろう。
最後にモーツアルトのツェルリーナのVedrai carinoと、Elviraのアリアを。
この2曲、彼女らしくそつなく歌うが、恐らく発声の声質が一番影響するレパートリーだろう。
だが、これですら自由に考えれば、どんな声質であれ、表現する意味が彼女にあるならなんら問題ないと言うべきだろうと思った。
それよりも、イタリア語の発音に英語なまりが出るのがどうも気になる。
特にTとかDなどの発音に、気息音が混じること、Rなどの発音もである。