MT
フォーレ、En priereから。
なかなかナイーブな歌いぶりで、好感が持てるフォーレである。
発音も良くなった。長いフレーズを一息で歌うのは素晴らしいが、コンマが入っているフレーズは尊重して欲しい。
例えば、O mon pereの前など。
子音の発音でVやBなど唇を使うものはもう少し正確な発音を望みたい。
Au bord de l’eauは、最初ピアノのテンポが速すぎて、ちょっと幼稚な感じになってしまった。
スペイン風の勇壮な旋律でもあり、またヒロイックに情熱的に歌いこんで欲しい。
その意味でも、高音に昇るクレッシェンドは充分に活かして欲しい。
Arpegeは、ピアノの前奏を注意。止まっている物体が動き出すような出始め。
いきなりIn tempoは、どうも変な感じ。
あるいは右手のフルートの旋律を充分に歌いこむこと、である。
歌は全体に声が細いので、もう少し下の響きを加えるように。
Nellは、先ず急がないでゆったりのテンポで確実に歌うこと。
ピアノは小さく繊細に弾くよりも、活き活きと楽しさを充分に出すように。
音量に拘り過ぎないように。
TK
今日はメリスマのように細かい音符で動く声を、徹底して練習した。
特にヘンデル、メサイヤのRejoiceでの課題になる。
バッハ、コーヒー・カンタータに比すると、音域がやや低めで中音域のメリスマが
音程感、響き共に、もう一つの感が残ったからである。
細かく音符が動くフレーズは、喉ではなく呼気の吐出のコントロールで動くのだと思う。
であるがゆえに、声を聴くとあたかもHahahahaと聞こえるのではないだろうか?
また、そうであるからこそ音程がきっちり合うといえる。
逆にトレモロは、明らかに喉で歌うものである。
喉の動きで音程が変化するから、呼気の吐出感によるHahahaは出ないはずである。
その分音程差は小さいはずである。ドレドレドレのように。
そうやってみると、彼女のメリスマの発声はややトレモロ的な発声に感じる。
これが、音程がもう一つスッキリしない点ではないだろうか?
もう一度Hahahaという呼気が混ざった声で歌いまわすことを練習してみよう。
KY
今日は今までになく調子が良く、このところもう一つだった高音域への発声が上手く行った。
ここしばらくは、どうも中高音域、2点F前後になると、ひっかかるような感じがあった。いわゆるAccutoが上手く行かないのだろう。が、今日はとてもスムーズであった。
イギリスから帰ってしばらくの間が空いたせいか、調子を出せずにいたが、ようやく戻ってきたようである。
特に何をしたというのではない、感覚に任せてやってもらった。
今日はVioletteから。
彼女にとっては懐かしい曲で、こちらでは初めての発表会(自宅)で歌った曲だったそうだ。すっかり忘れていた。
丁寧に、細かく練習して行った。
良く出てくる、2点F辺りにくらいに昇る際、声を抜かないように、しっかり出すこと。
抜くとファルセットになってしまい、喉が上がり更に高音が出なくなるし、しっかり出そうとすると、彼女に固有の母音発音の癖で舌根に力を入れて喉を押し下げてしまうのが、特に高音を出しづらくする原因であろう。
高音になったら、母音の形、すなわちアとかオ等の形に拘らず、あいまいにすることで、舌根を力ませないで発声できるであろう。
発声練習でハミングを練習するのは、母音発声による癖の出ない、発声が出来るから、ハミングによる練習も非常に有効である。
そのため、今回はハミングの練習を良くしたが、調子が良かったのはそのせいかもしれない。
次回もハミングを良くしてみたい。
最後にBelliniVanne o rosa fortunataを練習。
これも高音の入り口辺りの声がネックだが、今日はほぼ問題なかった。発声を解放的に力まないで高音を出す意識で対処していけば、ほとんど問題無く発声できる音域だと思う。
WH
次回発表会の曲選び、ということで、初挑戦のカルメンのミカエラのアリアを歌ってみた。
これが意外なことにフランス語の発音よりも、リズムの譜読みのほうが難しい。
やはり8分音符系のリズムは、難しいものである。
9拍子なら3つずつ括りにして、3拍子をわかるように楽譜に書き込みを入れるなどして、リズムを徹底して理解、体感出来て欲しい。
その上で、そのリズムを崩すなら良いのだが、それが基本にないで、崩してしまうと伴奏を付けるのが至難の業となるからである。
後は高音。譜読みが出来ていないので仕方が無いが、力不足というか、喉が上がって細くなってしまう。
スタッカートで、声帯をしっかり伸ばして当てる練習をした。
喉で出す、といえば言葉は悪いのだが、発声が出来ていない時には喉は使わないと、開発されない、というレベルの話し、と理解をお願いしたい。
で、改めて最後に今までやった中から、モーツアルトのドン・ジョヴァンニの、ドンナ・アンナのアリアを取り上げてみた。
これは、大分前に練習していたが、予想以上に出来が良く、急きょ決定。
冒頭のゆったりまったりの甘い旋律も上手いし、後半の高低差の比較的大きいメリスマも、声が良く当っていて気持ちが良い。
後はQuando m’emvoである。こちらは既に太鼓判が押せるくらい歌えていたので心配はない。
MM
今日のポイントは下腹部の下支えと、そのことによる呼気の強さやコントロール、とでも言おうか。
歌っている姿を見ていると、やはり下腹部がどで~んと動かないで落ちているように見える。
だから、結論を言うと呼気が上に向けてしっかり昇っていないように感じるし、実際の声もそういう傾向が強いのである。
後は、Je me souvienで感じたのは、やはり2点C~Fくらいの声で、響きが集まらず、何か開きすぎたような
ファルセットのような響き。
母音をイでMimimiなどで一端練習しなおすと、大分良くなる。
喉ではなく鼻腔で響きを集めるように発声すると良い。
テーマとしてはこの2つだろうか。
後は、いつものように顎が出ない姿勢である。
ちょっとした響き、それは概ね2点D~Eくらいの出しやすい所だが、やはり喉を掘った声になり勝ちである。
喉を掘るのではなく、むしろ喉が下がらないように、後ろに引っ張るように顎を引くことである。
他の2曲、メンデルスゾーン、リスト、いずれの曲も、いつも通りの課題であったが、大分進歩して安定した。
声さえ温まっていれば、心配ないレベルにまで到達している。
後は、顎を出さない、上唇を使う、また上記のように、下半身の使い方も含めて、まだまだ動くこと、感情を込めることによって
動く身体表現である歌、の部分を開発して頂きたいと思った。