NY

彼もこのところ、急速に伸びてきている。
一番感心したのは、フォーレの「月の光」だ。
声の抑制の仕方が上手くなって、全体にはかない雰囲気のこの曲を上手く歌えるようになった。
喉を力ませないで、軽やかに歌えている。
音程も良い。
コツは、良く開いた声で息を充分に混ぜた声で歌うことである。
特に中間部のAu calme..のくだりは、くれぐれも喉を力ませないで、開いた声で高く響かせるように。

フォーレの「ある日の詩」3曲も全部練習した。
1曲目は、以前から何度もやっているので、高音の響きも良いし、全体にゆったりした歌い方で丁寧に歌えるようになったことが一番の収穫であろう。ゆったり歌えるから、高音の発声も丁寧に処すことが出来ている。
2曲目は、もう少し言葉の語感を出した歌い方によって、怒りとか、テンションの高さが表現出来ると思う。
一番最後のAdieuxはは、冒頭の旋律の音程と響きに注意!
目の詰まった響きでみっちりと、そして下降形で音程が下がらないように充分注意!

最後のAdieuxの伸ばし、メッザヴォーチェを覚えたい。くれぐれも息を止めないように。
顎を引いたほうが、開いた喉で、共鳴のポイントを作るところを見つけやすいと思う。
後は、くれぐれも息を吐いて音を伸ばせるようになって欲しい。

その他、シューベルトの「水車小屋の娘」「緑の琴のリボン」上手かった。
繊細さと愉しさ、ドイツ的な男らしさみたいな雰囲気がとても良く似合っている。
Grunenの語頭の二重子音、気を付けて!Gの後に母音が付かないように。

マノン・レスコーのデ・グリューのアリア。
雰囲気で歌わないで、徹底してレガートにミッチリした響きで真っ直ぐに歌う方が良いであろう。
最後の高音が惜しい。ここさえもっと決まれば言うことが無いのだが。
自分で思っているより力んで出していると思う。
もっと軽やかに当てておいてから、クレッシェンドすれば良いであろう。

NS

しかし、以前から中低音は良い声だと思っていたが、このサムソン~のMon coeur s’ouvre a tavoixを聞いて、ますますその感を強くした。
出せば出すだけ、良い声がもりもりと出てくる感じである。

1曲目のフォーレの「シルヴィー」は、声が伸び伸びして、良い声が気持ちよく聞こえてきて素晴らしい。
強いて言えば、その分だけ発音があいまいな部分もあるにはあるが、敢えてそれを直す気にはならないくらい、良い声を伸び伸びして歌えているから、良いのではないだろうか?

それが、デュパルクの「哀しき唄」になると、例えばまったりとした出始めのモチーフを良い声で、実にゆったりとしたテンポで歌えるから、これは相当な実力であるといわざるを得ない。

このところ、声を壊したことが良い方に作用している気がしてならない。
中低音はとても丁寧な発声で、無理が無く、高音も綺麗にアックートして2オクターブの音域が、みっちりと目の詰まった
しっかりした生地のような風合いになって、安定して美しい。

実際、本人も良く勉強している。と思う。
この3曲に関しては、ほとんど言うことがないくらいである。
後は、ピアノ伴奏を付けた音楽作りを練り上げて行くべきであろう。
本番に向けた最終段階である。