KTM

また久しぶりだった。
発声練習を軽くやって、コンコーネを13番~15番まで練習をした。
発声練習では、舌根や喉で力んで擬似的に喉を下げて歌う癖をなくすべく、なるべく笑い顔で、口から上で響きを
作ることを教えて練習したもらった。
ただ、やはりこのことが、後々喉を締める結果に繋がってしまった。

それでも、コンコーネの練習曲を歌う範囲の音域だと、あまり問題はないのだが、ケルビーノのVoi che s’apeteを歌ってもらうと、喉の締まりが強く出てしまった。

何となく、喉だけを楽にして歌うために、必然的に喉が上がってしまい、ブレスをちゃんと吸えなくなり、ますます喉が上がって締まったままで歌ってしまう、という悪循環に陥ってしまうのであろう。

それで、1フレーズつつゆっくりのテンポでこちらが歌って聞かせて、一緒に練習した。
ブレスをきちんと入れて、準備をちゃんとさせて歌うように練習をした。
そうしたら、思いのほか高音の処理が良く、特にどうせいこうせい言わずとも結果的に良く歌えるようになった。

高い声になると喉が絞まる感覚を、喉が上がる、とも言うが、ブレスをきちんとお腹の意識で入れることだけでも、この高音域の声の準備には大きな意味が出てくる。
それから、顎が上がらないような姿勢も大切である。

基本的なところを、忘れずに落ち着いて対処すること、を忘れずに。

ST

初めての方。
合唱団のソプラノで、発声を習いたいとのこと。
当面、合唱団での発声が課題で、ピッチが低いとか、響きが直接的で、廻った響きになっていない、などなど。
合唱団は、意外と声の充実を求めているようであった。
それも、声質や声量などである。

一時、合唱のソプラノはボーイソプラノみたいな声の風潮があったみたいだが、さすがに後退してきたのだろうか?

ラターの曲やゴスペルを中心に発声を見た。
発声練習はやらなかった。
ある程度、教えてから改めて、発声練習の意義を分かってもらうのも良い方法かもしれないと思ったのである。

対処療法的に教えたことは、低音のピッチ。
単に、上の響きを出してから、その響きのままで低音を出してみる、ということで
声のチェンジが罹った状態だと、ピッチが比較的に良く出やすいことを、低音でも自然に応用するやりかたである。

大体が5度上の声を出してみて、そこから類推して低音も同じ響きで出すことで、いわゆる響きが落ちていない、ピッチの良い低音になるであろう。

ただ、その後色々聞いてみると、発声の基本を持たずに歌っているために、その場しのぎではなかなか難しいだろう、と思った。
長く続ける趣味にするためには、根本をある程度判らないと、本当の意味で面白さが沸いて来ないと思うから。

さて、その意味では最初に姿勢は大切である。
大体がブレスする時に顎を出す癖、そして声を出す瞬間に顎を出す癖の2つがあるもの。
だから、その瞬間に意識する方が、姿勢自体をこり固めずに済むであろう。
勿論、普段から気をつけることは大切であろう。

背中から後頭部にかけて、真っ直ぐに。
首の後ろ両脇で、頭をしっかり支えるようにしておけば、顎は出ない姿勢になる。
必然的に、背中から頭がしっかりする。

後はブレス。
絵の具チューブを下から搾り出すように、ブレスを擦る際には、下腹部を絞ることで、自然に横隔膜を開くことが出来る。
これはどちらか一方が先でではなく、必ず息を吸うことと、下腹部がへこんで、横隔膜が拡がることが一対の行為になることが
とても大切である。

このようなことを教えた上で、実際の合唱曲のソプラノパートを歌ってもらった。
声自体は、まだ開発途上だが、実は訓練すればなかな良い声になる可能性を感じた。
しっかりした声帯、集まった声は、もっと出せるであろう。
ただ、合唱団であるがゆえに、ピッチの正確にすることは急務であろう。

下顎を使わないで、歌詞(今日は英語)を読む練習をした。
そして、下顎を使わないがゆえに、軟口蓋が上がるように母音を発音、発声することが、結果的に軟口蓋を上げた、
いわゆる上の開いた声を作って行くことになるのである。
というようなことを練習してレッスンは終わりにした。

歌声、とか発声というのは、普段の喋り方みたいな、習慣性に頼る部分が大きいので、改めて技術を身につけるためには、
時間がかかることを理解して欲しい。
一遍に、色々なことをやらないで、一つずつクリアして行くほうが良いと思う。