FT

最初に3曲通してみたが、懸案の3曲目Musica prohibitaの高音は、力みが強いが、一応大丈夫だった。抜けが悪いのは、こりこりに力んでいるせいだが、それでも3曲通せただけでも良しとしたい。

その後1曲ずつ、検証して行ったが、やはり3曲目の高音だけが課題として残った形になった。

今日の発声のポイントは、ブレスをしなやかに、しっかりと入れること。
胸を開いて行くように。
胸が落ちた状態にならないように。
むしろ胸が高くなるようなブレスの方が、声の響きも落ちず、頭声が出しやすいと思う。
また、そのことで、ブレス時に喉は開くのである。

そこまで出来たら、後は頭から声を出すように意識することである。
そして、ハミングのンガ~のガを云う時に、軟口蓋から声が出始めること。

このときに、彼の場合喉から始まってしまう癖が強い。
下顎を使わずに、上顎を使うように発声、発音するようにすることも、喉から声を出し始めないためには有効な方法である。

根本的にはやはり発声を作ること、覚えることだが、大切なことは、発声の重要性を本当に納得して実行することにある。
きっかけを与えるのは、私の役目だが、残念ながら、手取り足取りというわけに行かないのである。

例えばゴルフ。
腰の振り方、手の使い方、フォームなど手取り足取り検証することは出来ても、先生と身体を一体になった状態でクラブを振ってボールを叩くことは不可能なのである。

今後の長い趣味として続けていくためには、身体を楽器として扱うための発声の方法を大切にして、訓練を続けて欲しい。
やはり、継続は力、なのである。

KH

風邪気味だったとのこと。発声もやらずに歌いだしたせいもあったが、声が中で力んでこもってしまい、響きが前に出てこないのに苦労した。
やったことといえば、ブレスをかなり意識すること。
胸を開くようにしっかりと、だけどもしなやかに、ブレスを入れて胸を開くように。

それがないと、反発としての呼気が働かないから、どうしたって響いた声にはなりにくいであろう。
呼気の圧力が少なければ、その分、喉を締めないと声が出ない、という悪循環に陥ってしまう。

ブレスが気持ちよくすんなりと肺に入ることが出来ていれば、それだけで自然に喉は開いた状態になるのである。
後は、声の出し始めを頭に意識を持っていって、高く声を出し始めることである。

ドナウディのO del mio amato benが、そういう意味で発声がとても大切である。
舌先も脱力して、舌根や喉で力んで歌わないように。
また、逆に上顎を良く上げて、明るく開放的な喋り方のまま歌うような意識も大切であろう。

Dormi bellaは、音域が平均して高めなので、力んだとしてもそれなりに通る声にはなるが、
それでも、ピッチが微妙に低くなるため、何か抜けの悪い声の響きになるのである。
これなどは、ハミングでピッチを高く取って響かせる意識を作ってから、歌詞で歌うとだいぶ抜けの良い明るい通る声になるようであった。

最後のニュー・シネマ・パラダイスのSeを歌う頃には、これら発声のこつも掴めて、良い声になっていた。
この曲の場合は、ラテン系の人特有の、一見怒っているようにすら思えるくらいの感情の高まりを演技して欲しい。そういう方法論が集中力を高めるであろうし、お客さんとしても楽しいものになるであろう。

HN

発声練習でも、歌でも、少し成長した跡が伺えるようになった。
一番感じたのは、Lascia ch’io piangaのレシタティーヴォの声である。

何かまとまった、響きの核になるような声の雰囲気が出せてきている。

今日やった発声の要点をかいつまんで書くと、一つはブレス。
ブレスはやはり他の人も同様だが、身体を硬くせず、しかし、しっかりと入れることである。
それから顎を出さないようにすることで、喉で力んで出す癖を矯正できるだろう。

そして、音域に応じて声を当てるポイントの意識を換えてみることも良いであろう。
概ねだが、中低音は鼻根を狙ってみる。
そして2点G以上は、軟口蓋を開けてそちらに声を持って行くように。

いずれにしても、口の開け方はそのための開け方である。
概ね鼻根に持って行くときは口先はあまり開けないであろうし、軟口蓋を開けるときは少し口を開けることで、開け易いと思う。

ただ、開け方があって、口先をバクッと大きく開けても意味が無い。
あくまで、軟口蓋を上げるようにするために、口を開けるのが意味である。
そのために、頬を上げることや目を大きく見開くことも意味がある。

Lascia ch’io piangaで練習したのは、ほとんどが高音である。
口を開ける場合もあるし、開けない場合もある、いずれにしても喉がどういう状態か?締まっているかそうでないか?
という感覚を元に声を出していく時に、口の開け具合が自然に変わると思って良いであろう。

口を開けないほうが、喉が力まない、或は口を開けたほうが、喉が開く感じがする、どちらでも良いのである。
いずれにしても、喉も開いて軟口蓋も開いて、楽に綺麗に高音が出るところを、何度も練習しながら見つけて行くことである。

Violetteは、高音で声を出し過ぎてしまうか、抜けてしまうか?
出し過ぎないことで、逆に冷静に発声を対処出来るであろう。

顎は良く引いた方が、高音の喉は開くと思う。
逆に言えば、引いているから喉で締めて歌わないと言おうか。
楽にしていると、実は喉で歌ってしまうのである。
また、顎を引いているほうが、下顎が使い難いから、下顎で喉を力ませて声を出さないで済むのである。

少し苦しくても矯正のつもりで、トライしてみて欲しい。