TK

声の調子はすっかり戻って、とても調子は良かった。
初伴奏合わせということで、声のことや細かいことよりも、ピアノとアンサンブルを作る練習。
とはいってもひたすら合わせるのみである。
ピアノは、バッハのコーヒーカンタートといい、ヘンデルのメサイヤのRejoiceといい、
ビートの正確さは厳しく要求されてしまう。と同時に、コーヒーカンタータの右手の
修飾的なメロディや左手の通奏低音のタッチなど、基礎的な技術力がシビアに要求されてしまう音楽である。

基本的にリズムの正確さ、それから、急ぎ過ぎないことの2点が大切であろう。
2拍子ならその2つのリズム感をしっかり感じること。当たり前だがこの当たり前が意外と出来ていないものである。
3拍子なら勿論、ダンスのイメージはとても大切である。
コーヒーカンタータのメヌエットは、聞いている人がメヌエットを踊れるようにピアノを弾いてもらえると良いのだが。

ということで伴奏さえかっちり決まれば歌の心配はないであろう。
気持ちよく歌ってもらえれば、これらの2曲は気持ちの良い演奏となりそうである。

WH

今日も色々なことを練習した。
まず、モーツアルトのドン・ジョヴァンニからDonna Annaの詠唱。
レシタティーヴォは、発音と抑揚が彼女は上手い。さすがにイタリア語を勉強しているだけのことはある、と感じられた。
ただ、語り口は急ぐだけではなく、落ち着くところも必要だろう。

前半のモチーフの展開はとても綺麗に歌えている。少し細かく見たいところもあるのだが、後半に時間とエネルギーを取られているので
次回、もう少し細かく練習したい。

後半のアレグロ楽節の練習。
細かいメリスマの下降形の響きがチェンジで落ちることと、最高音が締まることの2点を。
メリスマのように広い音域を長いフレーズで移動する場合、声のチェンジに即応できないと
音程や響きの段差が付き易いのである。

高音に昇る場合は、低音~中音域は、重くしないで上に上がるほどクレッシェンドするか
深くなるように。
また、低音に降りる場合は、逆に響きを変えないように高く維持すること、である。

プッチーニのボエームからQuando me’n voは、ちょっと歌声が小作りになってしまっていた。
最初のQuandoの声の響き、胸に一気に当てて分厚く出すように。
自信に満ちた人の強さみたいなものを出すのも良いであろうし、単純にそういう歌と感じられるメロディである。
中間部も、後半の再現部直前に向けて、声をガンガンと上り調子で持っていって欲しい。
高音は、前回よりもしっかりしてきて好ましかった。

SM

ドビュッシー2つのロマンスから1曲目。
出だしの低音、声は良いのだがL’ameをのAの母音を発音する意識が希薄で、どうも声、響きだけに囚われているため、音程が♭になり勝ちである。
発音の意識があれば、きちんと軟口蓋を上げてL’ameという言葉を発音するであろう。それが音程にも良いのは、軟口蓋が動くからである。
声質だけに無意識に行くと、声帯、喉だけに意識が向いてしまっているのである。

ここは一番最初の声なので、とても大切だ。
ここさえ上手く行けば、後は大丈夫であろう。

「麦の花」「放蕩息子」共に素晴らしいピアノの助けもあって、安定した演奏が実現出来てきている。「麦の花」は、冒頭の出だしは、くれぐれも唐突にならないように、準備をしておくこと。「放蕩息子」は、低音の発声が綺麗に決まれば、問題はないであろう。

この後、TTさんとモーツアルトのオペラの二重唱の練習となった。
フィガロ~の手紙の二重唱はとても綺麗で、雰囲気が良かった。

難しいのはコジ・ファン・トゥッテのフィオルディリージとドラベラの二重唱。
SMさんがドラベラだが、フィオルディリージとハモルところの音程がはっきりしない。
特に一番最後の二人で歌うハモリが大切なところである。
自分の声にばかり集中してしまうと、相手の声が聞こえないであろう。
相手の声を聞ける耳で自分の声のポジションを良く感じることが大切である。
特に高音になるほど、大切になってくるので注意を。

後は負けん気を出して気合一発!ということも実は大事なものである。
相手を慮るだけが、アンサンブルではないのである。

TT

モーツアルトの歌曲のAbendfindingから。
フィオルディリージで元気の良い声がビンビンと聞こえてきたが、この曲でも
綺麗な中低音が決まっていた。声量も充分で調子は良さそうである。
言うべきことはほとんどないが、本人曰く、ニュアンスがとのこと。
確かに単調といえば単調だが、1回目の演奏から、あまりニュアンスを考えなくても良いと思う。
自然に曲の中身が理解出来るようになったら、その時に自然に出せば良いのである。

さて、本命のOlympiaだが、これも冒頭から飛ばしていた。その分といっては何だが高音が少し元気がなくなっていた。
とはいっても、最後の3点Esだけで、後は大丈夫ではあった。
ただ、最初の通しの演奏は危なげが無さ過ぎて、大人しかった。
確実だけではなく、先に歌い進む場所はさっさと歌い進むようにした方が、全体的にはメリハリがついて良いと思う。

歌う姿勢を側で見ていると、やや上半身が硬い、あるいは歌う顎使いも硬いように思える。
ただ、このポイントが今は決まっているので、今の時点で根本的にどうこうは言えないのだが、発表会が終わったら
もう少し柔らかい身体や顎の使い方で、リラックスすることで声がもっと出るような方向を見つけたいと感じた。