KM
去年の12月以来だった。
仕事先を変わって、4月からまた新たにチャレンジ!というほど、大事でもなさそうだが、いつも積極的な彼女である。
今日のテーマは、やはり最近皆さんに教えている、喉の準備。
Popsとはいえ、喉を大事にすることや、ある程度の発声の方法論を身に付けていると、応用が効くと思う。
今までは敢えて、細かく教えてこなかったが、いわゆる声楽、の発声を教えたいと思った。
あくびした状態というのは、そのことが目的と言うよりも、喉から軟口蓋にかけて、
要するに声が出て外に出てくるまでの、身体の中の器官を、声が響きやすい状態にする、という意味に捉えて欲しい。
後は声が高くなるほど、声を出す息を太くする感覚で出して行くこと。
自然に喉が締まらないで、高音には入る。
ただし、しっかり素早くしないと、喉が先に締まる。
こんな練習をしてから、My favorite thingを練習した。
よくよく勉強すると、彼女の中音域の音程に注意が向いた。
特にフレーズで下から持ち上げると、下の声のまま持ち上げるために、音程が♭になり易い。
これが、少し気になった。
下から持ち上がるフレーズの最高音の音程。
いわゆる、上から音程を取るというが、最高音だけは注意した方が良いだろう。
HA
発声練習の声は、中低音が少し力んで、高音が細い感じだった。
彼女の声はいつも良い声だが、良く観察すると、歌う体つきが少し硬く、力んでいるようにも思える。
歌っている際に、胸や肩に余計な力が入っていないだろうか?
彼女の場合は、基本的に低音域、特に1点Fから下は、なるべく高く集めて出すこと。
喉を押し下げて太く出そうとしないこと、である。
そして、逆に2点Fから上になってきたら、少し太く意識した方が良いだろう。
レッスンでも話したが、録音で聞く歌手の声のイメージをそのまま真似すると、声の細い部分ばかりが出てしまうように思える。
これが、微妙に喉を締める結果になっていないだろうか?
曲はイタリア古典のChi vuol la zingarellaから。
歌うリズム感が良い。
声も良いが、やはりこの曲では、高音域で細く返さないで、息をそのまま太く上げるほうが良い。
また、低音は高く集めるように。
次に、ドン・ジョヴァンニ、ツェルリーナのVedrai carinoを。
このキャラクターが彼女にぴったりだ。しかし、声はもう少し太く喉が開いた高音をイメージした方が良い。
それで、丁度良い感じだ。
そして、イタリア古典歌曲集から、Intorno all’idol mio
これも、2点Cから上の声は、喉の開きを大切に。コーダに何度か出てくる3連符の扱いに注意を。
最後にCaro mio ben
やはり2点Cから上の声。喉の開きを大切に。
それだけで、音程感が良くなって、美しいクラシックらしい歌声になる。
やはり響きは大切だ、と実感。
SM
発声練習は、中低音から初めて2点bくらいまでだったか。満遍なく。
中低音は、喉がリラックスさえしていれば、良く共鳴するようになったと思う。
後は、高音から降りた時に上手くポイントをつかめれば、滑らかになるだろう。
それは、恐らく高音で喉が上がって締まらないこと、が確実に掴めれば、出来るようになることだと思う。
フォーレの「月の光」は、全体像が掴めたから、あともう一度のリズム構造洗い直をお願いしたい。
3拍子の旋律と、伴奏との関係を解きほぐす理解が出来ること、が一番大切だろうか。
ピアノ伴奏と歌との関係だが、ピアノは弾けなくとも、ある程度譜面が読めるのであれば、
伴奏のリズムと歌のリズムとの絡み合いを、リズムイメージで捉えることは出来ると思う。
あるいは伴奏の音楽だけを、3拍子で捉えられれば、恐らく歌の3拍子のこんがらがりは解決するのではないだろうか?
歌声の方はほとんど問題は感じないので、このリズムを更に徹底して勉強して欲しい。
Chanson d’amourは、彼女の歌声の良さとその優しさが、満ち溢れてとても良かった。
力まないでソフトに柔らかく響くと、この曲の美点が良く伝わるのだと思う。
前回注意した、J’aimeの発音、Yeuxの発音も大分改善されていた、今後も充分に注意を。
最後の再現へのつなぎは、無理に繋げないで、ブレスを入れてきちんと処した方が良いと思う。
ルイーズは、最後の高音は大分細く綺麗になってきた。
他の場所も高音の声はとても良いが、ブレスが持つかどうか?
この手の長く引っ張るアリアは、速く歌わずに、充分に伸ばしたい。
確かに伸ばす所はAnimeとなっているのだが、ほどほどにである。
SY
彼女も、発声練習に少し時間をかけた。
喉のあくび状態、である。
この初歩的な声の準備方法、上手く行けば良いが、覚えるまでが難しい。
最適なポイント、そして馴れ、である。これが実は一番難しい。
それだけで、中音域の彼女固有の出にくい響きが、良く出るようになる。それも声が温まらないうちから、である。
あくび状態は、最良のポイントを調節して見つけなければならない。
奥に入りすぎても駄目だし、前過ぎても駄目。
頃合を見つけられると、思わず共鳴が効いて、喉が負担がないのに、良く響く声が出る。
この感覚はどの音域でも同じだから、効率良く響くポイント、という感覚をいつも探す姿勢を大切に。
ドビュッシーのBeau soirから。
出だしの3連符の上の旋律のリズムは大丈夫だった。
この曲の最高音の声は、やや締まるので、練習。
その前の音から、意識しないで軽くポンと上がれば、意外と響くポイントが見つけられる。
音楽に気圧されて、力んで出すために、かえって響きが出なくなるのだろう。
Mandolineを今日も譜読み。大分歌えるようになってきた。ほぼテンポ通りでも歌詞の読みが着いて来られるようになった。
フォーレのL’absentは、彼女の良い声が活きてお似合いである。発音は良い。
Tristesseも、譜読み、発音はOKだ。
次回から、もう少し細かく見て行きたい。
AC
彼女もSYさんと同じく、喉の準備方法の練習をした。
口の使い方がその恩恵を受けるためには大きい要素だ。
唇を中音域は反らすように、少し緊張感を持つと良いだろう。
口は縦に開けるほうが、共鳴もしやすい。
低音は、以前は地声になりやすかったが、その傾向はほとんどなくなった。
久しぶりに高音まで練習したが、まったく問題なし。
2点bまで、綺麗に出来ている。
覚えたら、もう少し喉側を開けることで、共鳴がもう少し太く着いた高音が出せるようになるだろう。
要するに喉が締まらないように、口の開け具合や唇の使い具合を調節すれば良い。
そうなったら素晴らしい。
デュパルクの「旅への誘い」から。
出だしの低音から響きを作るように、準備を怠りなく。
中間部のLa tout n’est qu’ordre beauteの特に入りのLaの響きは大切。
Chanson tristeも、同じテーマだが、どちらも上に向うフレーズのクレッシェンドや
フレーズの入りから、フォルテなどの場合、くれぐれも喉を締めて鳴らすのではなく、息を太く吐くことで
それを実現して欲しい。
ドビュッシー「噴水」も声のテーマは同じだが、どちらかというと、PPのナイーブな声の扱いに勉強の集中が必要かもしれない。
譜読み、フランス語、共に良い仕上がりになってきた。