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今回は、発声練習でファルセットを意識した発声をしてもらった。
女声でファルセットを？と思うかもしれないが、敢えてそう指定する理由は、高音の可能性の少しでも足しになってほしいこと。
そして、ファルセットにすることで脱力した喉で高音を出すことで、高音発声の原点を振り返ってもらえるきっかけになれば、と思った。
これが最高のやり方で、結論ではないということである。念のため。

あるいは、日本語の母音の影響を与えないで、声楽的な母音発声の練習になる、という言い方も出来るだろう。
またハミングの練習が中声区（ミックスボイス）の練習のためであれば、ファルセットはそのもっと根本的な練習みたいなものと考えて良い。

曲はモーツアルトのAh se in ciel,benigne stelleを少しだけ。
ファルセットの練習をしたため、最初は母音だけでIにして練習をした。
高音で歌詞発音がないために、余計な力みがないことと、余計に息を使わないから結果的にブレスが楽であろう。
メリスマも良く廻っていた。

歌詞発音での発声となると、母音は時として息を使った共鳴のある響きが欲しいし、その響きには深みも欲しいこともある。
それはそれで、実際の歌を芸術的なレベルに高めるためには、必要なことである。
そのための要素は、どちらかといえば口の開け方であったり、鼻腔を開く感覚であったり、そのために軟口蓋を上げたりという具合。
ただ、このことに拘泥し出すと下顎から舌根が硬くなって、喉が硬くなるように思えるのである。

歌詞発音による練習は、ファルセットでの母音練習によるある種の純粋さと違って、その人固有の問題点が出やすい。
そのため、ファルセットによる母音練習と歌詞発音での練習、というように、練習を2分してそれらを併行することで、最終的に各々の必要なことがミックスされて最適な状態に持って行けるであろう、持って行ってもらいたい、という考えである。