ME

アーンの歌曲から始めた。
1曲目はA chloris
声は良い感じでしっかりと出ている好印象。

ただ、低音域が少し地声の混ざりが強目で、少し浅く生っぽい感じになってしまう点。
特に母音がアになるとその傾向が顕著になる。
響かせるポイントが前過ぎるのではないか?

曲の出だしが強過ぎるので、楽譜に書かれているTendrementの表現を大切に。
これは、前奏を聴いてS’il estと始まる最初の声のポイントの取り方が大切。
音程としても、低目を狙って丁度良いだろう。

発音上として、Que tu m’aimeというと、最初のQueのeのあいまい母音、末尾のeのあいまい母音などの、あいまい母音がすべて、日本語のかきくけこの、クに近く聞こえるのが気になった。
もう少し広い母音だと思って良いだろう。
これらの母音は、古い時代はあいまいではなく、E(エ)と読まれていたらしいことと、単語単位はフレーズの抑揚としても、アクセント部というよりは減衰していく響きの中にある最後の母音になるわけなので、その点でも、あいまい母音の響かせ方を考えられるであろう。

次にLe rossignol des Lilasを。
良く譜読みが出来ていて、この曲の持ち味を良く出して歌えていると思った。
この曲の後半がTant d’ardeur fait en moiのArdeur辺り、Aの母音、1点A前後が地声っぽくなってしまうこと。高い声区を発声して、声を作っておいて、この低音域の声を確認した。

Quand la nuit n’est pas etoilee
こちら、キーがやや低いが、彼女の場合、これも地声を混ぜないで、なるべく上の声を
使って、綺麗に通った声だけで歌うべきだろう。
その方がピッチが良く、ハーモニーが映えてくる。

最後にQuand je fus pris au pavillon
特に問題なく譜読みが出来ていると思った。

ただ、こちらの下手なピアノのせいもあるが、全体に声が大きすぎて、頑張りすぎている感じであった。

音域的には難しくないし技巧的な曲ではないので、この曲特有のバロック風なエスプリに満ちた歌を歌って欲しい。
具体的には、大きな声で一所懸命歌わない方が好い。なぜなら、歌詞の内容も、音楽も、小粋な、フランスシャンソンの伝統に乗ったものだからだ。落ち着いて、丁寧に綺麗に歌う事だけで充分表現出来ると思う。