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発声のトピックでは、おなかの使い方が大きい。
見ていると、声を出す瞬間に、ほんの一瞬前にお腹が出てから、へこますようにしている。
おそらく、声を出すアタック時に、お腹に力を入れることが、前に突き出すような動きになっているのだろう。
お腹自体を意識するよりも、息を吐くことに集中すれば、お腹の動きは自ずと決まると思う。

このことを発見したのは、息を吐くだけをやる練習からであった。
歌う体つきを見ていると、どうしても体の使い方が違う気がした。
それで、息だけを吐く練習をして、お腹の使い方を見たかったのである。

息だけを吐く練習は、ただ息を吐くのではなく、声楽的な吐き方を覚える、いわば発声方法の一段階的なことになる。
息を吐くときに、口から息を出すイメージではなく、軟口蓋に息を当てるイメージである。
ブレス時に、喉が適度に開くこと、軟口蓋が上がることの両方をやることは、言うまでもない。

その状態で、息を軟口蓋にしっかり当てるようにすると、息を吐くときの音が、口から吐くのとは違って、ある種の共鳴が感じられるか、あるいは息を狭い所を通すことによって生まれる、息を吐く力の集中が感じられるようになる。
その感覚が生まれれば、成功である。

この感覚で、あとは息を吐くのではなく、声にすることで、息を吐く体の使い方が、自然に声楽の発声に結びつくと思う。

声楽の身体の使い方が、喉の問題と、お腹や腰など身体全体との関係がばらばらになってしまうのは、声だけに意識が行ってしまうからではないだろうか?
実は声の発声に関与しているのは、声そのものだけではなく、息である、ということに意識を向けることで、本来の自然な声楽発声の身体の使い方が見えてくるのではないだろうか?

逆にいえば、非常に無意識にだが、口や顎や喉だけに意識が行ってしまうのである。