FT

3曲を通してみたが、どの曲も不安なく歌えたのが良かった。
レッスンでやったことは、1曲目のMaliaは、この際、高音発声を意識しないで、素朴に良い男らしい声を出す、ということだけに集中することとした。

高音発声を意識する余り、この曲の良さが失われる歌になってしまっていた。
それはピアノもで、良く言えば女性らしい細やかさと優しさに満ちているのだが、漲る力と情熱に欠けてしまっていた。

Tristezzaも中低音は、高音を意識しなくて良いだろう。
中低音の出し方が、やはり腹がなくなってしまい、おかしくなるからである。

カンツォーネは、チェンジするポイントを抑えておくことだと思う。
中低音を無理なく、良い声を出すことと、高音へのフレーズのチェンジの意識をはっきり持って臨めば大丈夫だろう!
思い通りに行かなくても、思い切って歌うことが何より大切である。消極的にだけはならないように。
それさえしっかりして、安心して本番に臨んで欲しい。

TK

バッハのカンタータNr44、そしてNr41、良く勉強したと思う。
そして、彼女の声で精一杯良い歌を歌うレベルに達せた、と思う。
バッハの音楽が充分理解出来る演奏のレベルだと思う。

これから課題にして欲しいのは、発音と発声の関係。
子音発音が苦手な面があるのは、発声の関係が大きい。
鼻腔発声があるが、調音点が前に偏っているのではないだろうか?
良く響く中音~中高音の声を持っているが、その分低音が響かないことと、発音が少し不明瞭になりがちなこと。

それは、唇の動きとか、下顎の柔軟な使い方、顔面の表情筋の柔軟さ等々。

これからやってみたいのは、下顎をもう少し降ろした発声が出来ること、そして低音発声だろう。
下顎を降ろすことと、首が前に出ない姿勢が確立するだけで、低音はもう少し出せるだろうし、声全体に
太く、大らかな声になるのではない、と思う。
ともあれ、本番は心配がないので、逆に上がり過ぎないように、注意したい。

SY

いつものように、喉の温まりが遅いのだが、温まると、良く出てくる。
この辺りは、テクニックで補えると思う。
大体が、顎を良く引いて口を開けすぎないで、高く響かせる意識を持つと
発音時の開けすぎが、スカスカする原因であることに気づくと思う。

今回はHotelと、Montparnasse
Hotelは、低音をしっかり出すこと、Montparnasseは、冒頭の旋律をしっかり歌いだすことであろう。
歌いだしは、大切だ。
表現意図がしっかりあることと、技術が伴えば、当然PとかPPという表現が出来るはずだが、実際はとても難しい。
声の音量で判断せずに、歌い方、静かさを出せば良いと思う。

Montparnasseは、緩急と声の大小を作って、全体にニュアンスを出した。
大事なのは、始まり。冒頭の声は、小さすぎないこと、そしてテンポは、遅すぎないで進んで行くこと。
盛り上がりのUn poeteの最高音は、ピアノのアルペジョと良く合わせよう。
Qui voulez connaitre Parisは。Ritして良いと思う。

中間部が一番ニュアンスが必要だ。優しく始まり力強く歌い、Votre dimanche a Garcheで心細く終わるように、ニュアンスを大切に。
最後のA l’aventureも朗々と、大きく歌って終わってほしい。

Hotelさえ、積極的に歌えれば大丈夫だと思う。

AC

デュパルクの「旅への誘い」「哀しい唄」共に、良く歌えていた。
伴奏合わせが1回限りとなったので大丈夫か?と思ったが、問題は感じない。
勿論、完璧には行かないが、発展途上はもとより承知の上で、その観点であれば充分な出来である。
また、逆に課題が見えた。

やはり、中低音の発声が鍵であろう。どうしても、舌根なのか、力が入ってしまい、響きがこもる傾向が残る。
あるいは、軟口蓋の意識がそうさせているよう、にも思えた。
確かに軟口蓋は大切だが、これも力んで上げようとすると上手く行かない。
目的は、低音は低音なりの、響き、共鳴の出るポイントを見つけることだ。
姿勢も、口の開け具合も、大きな影響があるだろう。

それでも、今はしっかり中低音の声が出せれば問題ない、と思う。
スカスカさせないで、きちんと当てて出した方が良い
高音域は、きれいにチェンジした声が、息の力と共に出しているのが分かるので、言うことはない。
少ないレッスンと1回の合わせで良く歌えるようになった。
「哀しい歌」の伴奏は、アルペジョの和音感とタッチ、「旅への誘い」最後の節の連符のアルペジョの響き、タッチが素晴らしかった。
本番も期待したい。

KH

イタリア古典からCaro mio ben
出だしの声がとても綺麗で、彼女のソプラノとしての方向性を感じた。
低音の声がもう少し欲しい気もするが、そのために発声を力ませたくないので、しばらく高音を綺麗に伸ばすことに意を注いでみたい。

Ombra Mai fu、イタリア古典歌曲集中声用で歌った。
低音はあまり出ないのだが、スカスカということはなく、声帯の合った声質である。
この曲は、中声用だとやや低い気がするが、Caro mio benを補う形で、中低音の練習になるだろう。

そして最後にRidente la calma
最高音が、繰り返される中間部は、ちょっと力不足かな?
3回目くらいになると、息が足りなくなり上がってしまう。
これも、練習を重ねる中で、少しずつ覚えてほしい。
今は横隔膜もどうなのか?あまり使いにくいようであれば、無理も出来ないので、特訓にはせずに
歌いこみを増やす、という方向性だけで対処して行きたい。