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バッハのカンタータ140番だったか?
この曲は、声楽作品としては不思議な曲で、伴奏にメロディがあり、歌が対位旋律みたいな構造になっている。
このような曲を持ってきて勉強しようとする姿勢、声楽家としは大いに褒めてあげたい。
その代り、勉強しようと思うのであれば、どういうことを勉強したくて選ぶのか?明解にしておきたい。
音域がそれほど高くなく、ほとんど5線の中である。
また跳躍が少ない。
という特徴である。
器楽的な意味で、伴奏のメロディーに対する対位旋律の役割を果たすために、5線内の声のピッチの正確さと、
歌詞発音を含めたレガートな歌唱を目指したい。
モーツアルト、ドン・ジョヴァンニからIl mio tesoroは、ほぼ問題なく歌い通せるようになった。
メリスマでは、高音よりも中低音が音程が♭になり易い点を注意。
フォーレの歌曲から「月の光」なかなかいい感じになってきた。というのは、声の話。
ニコライ・ゲッダを思わせる明るい硬質な声をさらに目指してほしい。
声はこの曲では抑えないで、常に良く響かせて、旋律を際立たせることを大切にしよう。
最後にダウランドのCome againとFine knacks for ladyを歌ってもらった。このような声楽的な技巧に頼るのではない、歌詞を味わい深く歌うシンプルな曲を勉強することで得られることも大きい。
また、声楽的にも英語の歌詞を処理すること、レガートな歌唱を勉強することはなかなか難しいことなので、トライを評価したい。