発声練習では、高音の換声点に向けて声を拡げて行くイメージを指示した。
クレッシェンドと考えても良いかもしれない。
無意識に音程を優先するために、声が換声してファルセット傾向になるのだと考える。
そのため、自然に声をミックスさせていくためには、換声しないようにすること。
呼気圧を増していく必要があるが、声帯が開かないように気を付けなくてはならない。
そのため丹田に力を込めて行く必要がある。

コンコーネ49番。
ヴァリエーションの2番がシンコペーションなので、拍を手でたたきながら歌ってもらった。
これは見事にぴたりと決めてくれたので感心した。
更に音楽的に洗練させる余地がまだ残っていると思ったが、取り合えず曲集を終わらせて
先に進みながら覚えてもらえれば良いと考えている。

コールユーブンゲンの4度音程を勉強。
この練習は、非常に機械的なフレーズの繰り返しで面白くないのだが、今日の課題は音楽的と感じた。
やはりドレミファの音階をしっかり身に着けることと、その結果である音程感覚を身体に着けることが必要と感じた。
短3度、長3度、完全4度等々、音程感覚と階名唱法は身に着けるべきと感じた。

イタリア古典歌曲集中声用から、Dimmi amorを練習。
譜読みは十分出来ているのだが、声の扱い、母音の形などに課題の残っていた。
I母音が顎を降ろして広くなってしまう癖はなかなか頑強である。

恐らく彼女の中では、顎を降ろさずに発声するのは日本的に締まった発声という固定観念があるのではないか?
Popの世界では、最近やたらと口を開けたI母音で発声する人が多いが、恐らくハイラリンクスを避けるためだろう。
声楽的には円唇化と言って、下あごを降ろして口を開け気味にしなくてもハイらリンクスにならなくなる。

とはいえ歌声は全体にハイラリンクス気味なので、A母音で声質を調整した。
ハイラリンクスを避けるために、和音内の下側の音を出してから、喉を変えないように注意して該当音を発声してみる。
これをすると声が落ち着いて、大げさに言えば子供の声が大人の声に変わる感じである。

この母音唱法で声質の勘をつかんでから、歌詞発音による歌唱に応用していくわけである。