KR

彼女はクラブ歌手経験がある中で、発声の基礎を学びたいとレッスンに来られたのがきっかけであった。
その後新型コロナ流行を機に、地元に帰省したためオンラインレッスンを始めることになった。

リアルレッスン時から注目したのは、Pop系の方にも拘わらず旺盛な好奇心と努力によって声楽発声を受け入れて勉強してくれた姿勢である。
オンラインになってからはソルフェージュにも興味を持ち、かなり本格的にコンコーネとコールユーブンゲンの練習を始めることになった。

オンラインレッスンは、この5月でほぼ1年間定期的に続けたことになる。

発声は胸声が消えて、ミックスした発声が中低音で使えるようになった。
ファルセット性が強いが、高音発声も伸びた。

もっとも改善されたのは、胸で力ませていたブレスがほぼ無理なくお腹を一緒に使えるようになったことだろう。
恐らく声を出すときの声量のコントロールが自然に出来たのだと思う。

もう一点、1年の定期的なオンラインレッスンで効果が大きかったのがコンコーネとコールユーブンゲンの勉強である。
コンコーネのOp9、いわゆるコンコーネ50番は、前曲を終えてOP10に移行できた。
この勉強の中で大きかったのが、リズム感のこととブレスのタイミングの取り方であろう。

コールユーブンゲンは暗中模索で始めた当初、初見能力を伸ばす目的で始めたのだが、回を重ねるうちに彼女の力量を考えて
予習をお願いし、階名唱法で歌えることを徹底してもらうことにした。
移動ドの階名読みの練習を積み重ねることで、階名で読むことによる音程感の能力をつけることを目標にしたいと考えている。

同時にイタリア古典歌曲集を練習している。
当初はAmarilliから始めて、現在はDimmi amorを、最近はStar vicinoも譜読みを始めた。

現在の課題は、高音の換声点からのファルセットが強くなる点。
これはこれで、きれいに歌えるのでPops的には言うことが無いのだが、劇的な表現の時には弱くなってしまうだろう。
洋楽が好きな彼女のであるから、その点でもこのチェンジの問題は課題にすべき、と考えている。

イタリア語の発音はとても良いが、I母音だけが彼女固有の癖でEに近い感じになる点には注意している。