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発声ではI母音の癖をかなり徹底して教えた。
彼女の中音域は胸声傾向のためにI母音がEに近く感じられるように発声する癖がある。
これは、下あごを降ろさないと音程が出ないという無意識のなせる業であろう。
つまり、良くも悪くも声が当たらない響き方ができる方が、I母音は正確なIの形で発声しやすいということ。
発声練習では、ブレス時に少しあくび状態を口の中に作っておいて、軟口蓋から上で声を出し始めるという声のアタックを指導した。
これは、前述の頭声優位のI母音発声ともつながることだが、柔らかく全方位的に響く北欧好みの発声である話などもした。
コンコーネ25は、順調で良く譜読みが出来ている。
今回は修飾音符を鋭く表現するための、発声の問題を取り上げた。
これも、発声練習で指導した、頭声優位の発声がやりやすいこと。
コールユーブンゲンは、7度の展開を練習。
大事なことは歌った音程感を常に頭に残しつつ、先に歌い進むこと。
つまり残像のように音が残っている感じで歌っていくと音程が取りやすいということ。
イタリア古典歌曲集からDimmi amor
前述のI母音に注意しつつ、唇や周辺のこわばりに注意をした。
歌おうとすると、意外と唇に力みがあり、見た目以上に横に引く力が働いているようである。
唇は緊張して伸展させないで、むしろ緩めることによって反り返ったような、あたかもラッパのような形状を持つこと。
そのために、えくぼが出来るような顔を意識するとやり易いことなど教えた。
それにしても、現状のままでもアカペラでこの曲をピッチを狂わせないで歌える喉は素質があると感じる。