アトリエムジカC試演会2023年7月31日土曜日19:00開演
試演会は、普段着で簡単に本番を経験するという簡易版発表会のようなものです。
人数も少なくして、短く終わります。
さて、実は現在私は闘病中の身です。悪性リンパ腫という病で抗がん剤治療中なのです。
薬剤投与を3週間おきに6回行いますが、この試演会は1回目の2日前でした。
片目が腫れているのは腫瘍のせいなのです…
この開催もよほどキャンセルにしようか?悩みましたが、ここまで来たから頑張ってみようと思いました。
そのせいでしょうか?いや実はいつもですが、皆さんの歌声には本当に励まされました。
そして音楽というもの歌というものの素晴らしさに落涙する想いで過ごすことが出来ました。
終了後は先生らしくもっともらしい批評を述べましたが、本心は感謝と感激の気持ちだけなのです。
最後に。
アマチュアは未完成であることに良さがあると思いました。
未完成の中にこそ真の音楽の萌芽を感じることが出来るからです。
少しでも上手に!少しでもプロの一流を目指す!ことを否定はしませんが、その前に大事なことは何か?歌うことは?その意味は?改めて考える必要を感じた試演会でした。
下記、今回の出演者それぞれが書いた感想をまとめてあります。
出演者(イニシャルによるリンク)KC ST TM MT AC 各自のイニシャル横に、プレイボタンがありますので、そこから動画にリンクされています。
綺麗な歌声で高音の美しいレッジェーロソプラノの萌芽を感じさせる歌声でした。
初めての発表ということもあり、やや遠慮がちに感じました。
ここは、やはり発声の基礎を再構築してほしいと思います。
声の出し始めのブレスと喉の準備、という点が一番大事です。
これからの成長をとても楽しみにしております。
「あたりは沈黙に閉ざされ」ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」より
アリアの中でもかなり難曲に挑戦し、技術的に彼女の難点を克服しつつある出来でした。
以前にくらべると声量も増し安定した歌声でした。
頑張っている姿に感じ入るものがありました。
今後の課題は、特に換声点近辺から上の領域で舌の力みをなるべく取る代わりに、しっかり腹筋と背筋を使うこと。
そのことで、声がもう少し前に飛ぶようになると思います。
「モンパルナス」「この優しい小さな顔」「ラ。グルヌイェール」シャンソン「私たちの思い出は歌う」プーランク
レッスンで苦労しましたが、最終的にこのスタイルで今回は良かったと思います。
その意味で、今回の彼のプーランクの歌として最上でした。
彼の美点は「真摯」に歌う人間性にあると感じました。
表現しようとする積極性や、声のことを考えて良いものを届けようとするその意図にです。
その真摯な気持ちを、更に技術の精進と共に今後の活躍を祈っております。
長年来てくれていますが、それだけに歌声とその姿に風格が増しました。
フォーレ作品に相応しい艶と品のある歌声で聴衆を魅了したと思います。
デュパルクはヒロイックな調子が目立ちましたが、もう少し弱々しさが実は表現の要だと思います。
発声とフランス語の発音と絡めてさらに精進すれば完ぺきでしょう。
「オルクニーズの門」「ホテル」「ワロニーの沼地」「パリへの旅」「すすり泣き」プーランク
歌曲集のそれぞれの曲風に適った歌になっていて、私の知るこの音楽の美点は表現出来ていました。
声も前に出て明るく気持ちの良い歌声になっていたと同時に、弱声も覚えて表現の幅が出来てきました。
発声面では、もう少し喉の開いた良く言えばリラックスした声になれれば理想的です。
口蓋が高く喉奥の広い歌声です。