2、声の浅い、深いについて・・・ 一般に声が浅いというのは、たとえば平べったい声とか、喉っぽい声、などを表現することが多く、声楽の世界では、悪い状態を指すことが多いのです。 しかし、表面的に深い声、浅い声というものを、大切にしてしまいますと、大きな間違いを起こします。 それは、表面的に深い発声をするがために喉を硬直的に使ってしまい、特に音程に問題が出てしまうことにあります。 この場合、音程は低めになります。 喉頭は、釣り上げ筋と、引き下げ筋に大別された筋肉で保持されますが、下に引っ張る傾向にあると声質は太くなり、特に高い音程が出しづらくなる傾向が見られます。 試みに、喉に力を入れずに、ある程度高い音程の声を出してみて下さい。自分の指で喉頭(喉仏)を わずか下に押し下げてみると、音程が見事に下がります。 誰でも分かることですが、本当に喉を楽に力を抜いた声というものは、声質としては浅いものです。 これから、声楽を始める方、あるいはアマチュアで声楽を習っているがどうも音程が悪い、上ずる、あるいは音程がぶら下がる、、などの悩みがある方は、まず、喉の力を抜いた状態がどういうものか?ということをもう一度理解して実行してください。 そのために、ハミングの練習はとても効果のあるものです。この練習については、別の機会に詳しく書きます。 我々は、現在、CDや数多くのメディアを通して素晴らしいプロの演奏を聞くことがたやすく出来るようになりました。その反面、その弊害として耳だけが成長して、表面的に声を真似るだけで、声楽の発声を確立してしまう傾向があるのではないでしょうか? 良い発声による声質は、確かに深みのあるものですが、これを表面的に真似ようとすると、上記のように硬直した喉の使い方に陥ることが、非常に多いのです。 これを長年続けていますと、元に戻すのは容易ではありません。 声楽初心者にとって一番大事なことは、まず喉に力を入れずに声を出せるかどうか?そして、お腹を使って息を吐く意識と共に声を出す感覚を持てるかどうかにあります。そしてそのことによって、簡単な旋律が正しい音程で歌えているかどうかです。これらの条件をまず満たすことが出来れば、声質は二の次と考えても構いません。声質を深くすることは、もう一段先のことと考えた方が良いのです。 |
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