9、深い…ということについて

歌を歌うということは、序文にも書いてある通り特別なことではありません。誰でも、取りあえず歌えますが、クラシック音楽の「声楽」として特定した場合、声を楽器として訓練することが重要なことになります。
楽器として扱うということは、まず一声出すにも訓練を経なければなりません。
声楽の世界で俗に「ポジション」などといいますが、声を出すポイントがとても大事です。
初心者が歌う声と、訓練を経た人が歌う声の違いは、音質が落ち着いているか、がさがさして平べったくて落ち着きの無い声か、という違いを誰でも耳で聞き分けられます。
これを声のポジションの持ち方の違いだと思って良いです。昔から「腹から声を出せ」などということはこのことと無縁ではありません。腹式呼吸の筋肉の使い方と同時に、声帯があるべき場所に収まっているかが自分で意識できなければなりません。
初心者でよく見られるのが、ドレミファソ〜と5度の音程で発声させると、上に行くにしたがって喉が締まって細く頼りない声になることです。
これは、音程が上がるに連れて声帯がそのまま上に引っ張られてしまうからです。
良く訓練を経た声楽家の声帯の位置は、多少の動きがありますが、一定です。むしろ、高い声になるに連れて声帯が下に引っ張られるような動き方をします。
声帯と言うのは、胸から引っ張られる下からの筋肉と、舌根、軟口蓋からの筋肉などの上部2個所から、
そして声帯の後ろの首の部分から伸びている筋肉の4個所つで調整されます。
この4つの筋肉を無意識で自在に操って、良い声を出すのです。また、さまざまな音色の使い分けをします。

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