レッスンをしていると、時折母音のAの時に地声の癖が強く出る方がいらっしゃいます。
語り口調の強いPop系の歌であれば、それも一つの個性になりますが、ジャンルを広く歌うためには声色の癖が気になります。
一番の課題は、同じ声区内では高音になるほど、声の喉締め感が強く出ることです。
そのため、換声点になると、唐突にファルセットになります。
これは年月をかければ必ず治ります。
色々なやり方がありますが、もっとも効果があるのがフランス語の鼻母音の傾向にして練習する方法です。
具体的には、ManでもMainでもDansでも何でも良いですが、要するにMaではなくManというNが語尾にあることを意識してもらうが舌が咽頭を塞がないということです。
カタカナで書くと、例えばドレミファソのスケール練習では、母音を伸ばした最後にンをつけないこと。
ただし母音発声に常にNの要素を意識して出すこと、とします。
これがなぜ良いのか?というと、母音Aで癖がある人は、舌に力みがあって舌を喉方向に向かって抑えつける傾向が強いのです。
つまり、俗に言う喉声とはこのことです。
Nを意識することで、いやでも舌を押し下げないで浮かせる傾向になるため、舌の下方への力みが取れて、声帯の解放された明るい響きになるという具合です。