今回は与太話(学術的ではない、いい加減な話、床屋てい談のこと)として書きますので、あらかじめご了解を。

とはいえ、自分なりに考えている発声の原理と関連することです。

大分以前の話ですが、すでに現役は引退された高名な日本人バリトン歌手のマネージャーさんに聞いた話です。

その方は、本番前にカツ丼を平気で2杯くらい平らげていたのだそうです。
というか、それくらい食べないと、声が調子よく出ないとか。。。

そのことで思ったのは、昔から声楽家、特にはオペラ歌手に肥満体が多いということに関して、
うすうす感じているのは、どうも横隔膜の状態あり方と、肥満が関係あるのではないか?ということです。

つまり、前者の有名オペラ歌手氏がたくさん食べると、声が調子よく出たのは、胃が膨張することで、腹圧が高まった状態になり、
反作用的に胸郭内の負圧度が高まりやすくなることによって声門閉鎖を起こしやすくなり、結果的によく響く声が出やすくなるというわけです。

このことは、自分もある程度は実感することです。
食後の腹がいっぱいの状態だと、吸気量自体は横隔膜の収縮力の低下を感じるせいか?充分に吸えたという実感が低下するように感じますが、声の響きは妙に良く響くのです。

これは、呼気圧の高まりで良く響くのではなく、むしろ声帯が閉じようとする力が良く働く、或いは働きやすい状態になることが、関係あるのではないか?と思うわけです。

そして、最初の命題である、肥満体だと、という話ですが、肥満体の原因は、基本的には腹部の脂肪が多くなることですね。
あるいは腹腔内の内臓脂肪です。
特に内臓脂肪が多く付くことで、結果的に腹圧は常に高まる状態になるのではないでしょうか?

以上のへ理屈(笑)を考えると分かることですが、吸気の実質的な量というのは、発声、声の響きに関係しているわけではなく、
胸郭内の負圧の状態そのものが、声門閉鎖の状態、度合いが、発声に大きな影響を与えるということです。

ということは、吸気の量を左右する吸い方の大小や、呼気の量は発声そのものに関係がなく、むしろ胸郭の負圧度をどう高めているか?
ということが発声に大きな影響を与える、という理屈です。

つまり、恒常的に腹圧が低い人よりも、常に高い状態にあるような人の方が、高い腹圧⇒胸郭の高い負圧という連携状態をより軽く済ませられるために、同じ呼気圧でより響く声が出る、出しやすいということにならないでしょうか?

風船の中に空気がたくさんたまっているほうが、風船の吸気口をつまんでいる指をゆるめることで、び~っと音をさせるのが容易である、ということに似ています。

人の場合は、この風船の中の空気量が問題なのではなく、風船が膨らんでいるかどうか?が問題だ、ということが、人の体の呼吸器官の特徴、ということです。