コントロールが効かないという意味は、たとえばフレーズの長さの問題と、強弱をつける問題の2つに収斂されるのではないでしょうか。
前者に関しては、つまり息のコントロールそのものですね。
後者に関しては、息の配分の問題につながります。
つまり、いずれにしても限りある息というエネルギーを自分の意思で使えるか?ということでしょう。
実際もう一度歌ってみてください。息の配分を考えて歌えているでしょうか?
例えば歌い始めです。声の出し始めで息をどう使っていますか?
歌いだしてから、息がどのくらい残っているか?感じていますか?
これらの体感がなければ、コントロール出来ないはずです。
歌声の息の問題として、まずは普段の息を意識してみましょう。
吸って~吐いて~を無意識にしていると思います。
今度は意識して吸って~吐いて~をやってみます。吸う1として吐くを5つ数えてみる。
それを一定のブレスで数回繰り返してやってみます。
このようなやり方で息そのものに集中する感覚を身に着けるのです。
後は、実際の歌で同じように息を意識して歌ってみてください。
息を意識すると、今までの歌う集中が違ったものに感じられるでしょう。
あるいは今までの歌う情熱が消えてしまうかもしれません。
しかし、その歌う情熱と言うものが、実は音楽を表現するときに、純粋な音楽性の邪魔をしている可能性が大きいのです。
今回の記事は、歌う息について、なるべく単純化し生理的な範疇で記述してみました。
実際はこの息というものは、感情と密接に結びついているはずです。
その感情を抜きにして、機械的に息や声を意識してしまうと、ロボットのような歌声になってしまいます。
息と言う字は自ら+心と書きます。
そう息は心なのです。
ということは、歌に限らず人間が楽器で奏でる音楽も、奏者の息=心によって表現されることがお判りでしょう。
特に息を直接使わない弦楽器や打楽器でも、息がとても重要な意味を持っているはずなのです。
次回は再び呼吸と発声の関係について書く予定です。