先日レッスンで「先生の発声法は何ですか?」と問われて、即座に答えました。
「正しい発声法です!」
いや半分冗談ですが、半分本気です。
誰も、正しくない発声を教えようと思ってる先生なんていないでしょう?
恐らくその生徒は、ベルカント発声法、とか?ドイツ式とかフランスの、とかいろいろあると思っているのでしょう。
確かに違いはあると思いますが、私が問題にしたいのは、ほとんどの初級クラスのアマチュアにとって、~式かどうか?ということを気にする必要はない(レベルではない)、ということです。
どういうことか?
声楽の身体というのは、かなり多くの現代人にとっては、退化してしまったものを、復活させるような作業に等しいことなのです。
たとえば、視力が0,5に落ちてしまった人を、なんとか訓練で1,0にまで上げよう~みたいな話なのです。
それを基礎というならば、私は基礎を作り上げる部分を問題にしたい、のです。
退化ということを癖、と言い換えても良いでしょう。
いかにおかしな癖が付いているか?それを本人に判ってもらうだけでも、根気の要る大変な作業ですね。
なぜなら本人はそれほどに思っていないケースが多いからなのです。
そんなところでイタリアもフランスもドイツもないんです。
ドイツもこいつもない!なんてシャレも言いたくなるくらいです。笑
もっともっと前の段階なのです。
呼吸ひとつとっても、退化しているし、喉ひとつとっても、健康的な状態ではありません。
たとえばイタリアに行ってみれば解りますが、どんな声でどんなふうにしゃべっているでしょう?
そんな文化風土で生まれながらに育った人と、日本人が、イタリア語の歌を勉強してどうこう、という話ですよ?
したがって、~法とか言って、発声法を一律にメトード化して、万人に一律に教えられるわけがありません。
そんなことをしたら、喉をつぶす人もいるかもしれないし、逆に声が出なくなる人もいるかもしれません。
運が良くて当たりの人はラッキー!なくらいでしょう。
声は喉は千差万別です。
それは、素材としてという意味もありますが、前述のように、癖がものすごく大きいファクターになります。
このことは、とても大切なことです。