声楽の世界では「喉を使わないで発声する」とか「喉で歌わない」ということを良く言われます。
他にも、発声法で一般的に使われる言葉には、普通に考えると良く理解できない表現があることに気づかされます。
この原因は、声楽が他の楽器と違い、自分の体の中の状態を把握しコントロールする、という特殊な事情から出来たことが大きな理由でしょう。
どうしてこのような表現が広まったのでしょうか?

理由の一つは、日本人が欧州に留学し、あちらの発声法を持ち帰った先生方の教え方の中にこの言葉が多用されたこと。
私もこのことについては覚えがあります。

喉で歌うな、胸に響かせろ、頭に響かせろ、うなじで歌え、その他たくさんあります。
ただし、喉で歌え、と言われたことはほとんどありません。

この理由の一つとして、向こうの先生の、日本人の声に共通した癖を直すため、というのがあるのではないでしょうか?

すなわち、母音を喉で作る声です。

もう一点は良く言われましたが鼻声はいけない、というこも良く言われました。
日本人の声は平たい、とか、浅い、とかとも言われたことがあります。

欧州人(あえてこう書くのは、日本人の言語、音声の発声と判り易く違えるためです)の言語発声が、日本人と大きく異なっているのはこの母音発声と、きっかけになる
子音発声にある、と考えています。

これから少しずつこのことについて、書いていきたいと思います。