歌声の基本は明るく。。ということは、声楽の世界では古来から良く言われていることで、大事なことだと思います。
この意味は、声として効率よく通る声になって発音が明解になること、にあるのではないかと考えています。

この良く通る声、というのは実は倍音が良く出ている声のことです。
そして、この倍音が綺麗に出る声は、例えばピアノ伴奏とも上手くマッチして、美しい和音感にも影響します。
音楽の音程という概念は、単に一つの音だけが正しい、ということではなく、声質というものが、和音に影響する音程感に大きな影響を与えると思います。

顎の使い方は、生理的に言えば下顎は顎関節で回転運動するのが自然であり、上下に垂直に動くわけではありません。
したがって、歌声発声で開けるときは、感覚的には後ろに少し引き寄せるように意識することが生理的に自然な動きになり、発声においても良いです。
このことで、特に換声点近辺の発声において、喉仏が上がろうとするのを防ぐことが出来ますし、頬骨の辺りの筋肉が働いて軟口蓋が自然に上がるので一石二鳥なのです。

顎の使い方に関しては、更に高音発声になった場合は、上あごを持ち上げるように開ける意識が良い結果につながるでしょうし、更に高い換声点の通過を上手く処理させる原因になるでしょう。
このような発声方法が、発音の明解と声のレガートの両方を結びつけるのだと思います。

推奨したい発声のイメージは、例えば楽器でいえば管楽器ではなく弦楽器です。ヴァイオリンやアルトです。
強いて管楽器で比較するなら、フルートよりもオーボエやクラリネットなどのリード楽器です。
フルートは息を穴に通して共鳴を誘いますが、リード楽器はリードの振動と息との関係がより人間の歌声に近い気がします。

息は使いますが、声帯が良く閉じて少ない呼気で効率よく倍音が良く出る響き、です。
下顎の使い方がこのことに大きく関係すると思います。