前回の「ハミングの効用」の続きです。

ハミングをすると、あたかも鼻で響いている感じがしてしまいますが、これはそういう感じがするだけで、鼻は直接関係ありません。
単に、舌で口蓋にふたをして、声が直接口から出ないようにしているだけのことです。
口から出せず鼻の穴から声と息が出てくるために、鼻声に感じる、というわけです。

その上で・・・・
前回上げた3つのメリットの内、低音発声の息漏れ解消についての練習方法から書きます。

低音発声で息漏れが出るのは、声域が高い喉を持つ人の特徴です。
なぜかというと、低音域(女声は4点C~Fくらい)である胸声区は換声点であり、力むと声が下の声区に代わってしまいますし、換声させているだけだと、弱くスカスカした響きになります。
この現象はオクターブ高い頭声区への換声点でも、現象としては同じですね。

特にフレーズの歌いだしがこの低音域で換声させているだけだと、息漏れが出やすいため、喉を下げようとし過ぎて余計にスカスカしてしまいます。
また、スカスカを避けようとして余計に喉を開けようとして喉を下げてしまうと、音程を跳躍した際に音程の響がはまらなくなり勝ちで、悪循環に陥るでしょう。

このような場合、ハミングで低音の喉の感覚を矯正します。

まず、口を開けないハミングで奥歯を噛みしめて、響きを平べったい薄い響きで頭だけに響かせます。
低音域ですから、難しいですが、響きを深くしないで、浅い平べったい響きにして、音程を高めに意識します。
大事なことは、なるべく響きに芯をつけたまま(胸声を混ぜつつ)ピッチ(音程感)は、♭にならないように、高く高く意識すること。
このためには、軟口蓋をかなり高く意識して緊張させないと出来ないはずです。

このような練習方法でフレーズを歌ってみてください。
そして、ハミングから母音に変換して再度練習してください。
声量は出ませんが、息もれのないピッチの高い低音発声が出来るはずです。

以上の方法について、逆の見方をしてみると、喉を開けようとしない、ということにならないでしょうか?
喉を開けようとすると、声帯を開いてしまうのです。
これが、低音発声で息漏れが出る人の発声の特徴、といって間違いないでしょう。

喉を開く、という意味がここで問われてきます。

喉を開く=声帯を開いてしまう・・という図式にならないように、このためにこそ、軟口蓋をどう扱うか?ということが大切になってきます。
また、喉仏を下げることは何のためにするか?ということ。

次回は、息もれの多い発声と、この喉仏と軟口蓋の関係について書いてみたいと思います。