喉、喉頭のポジションは、甲状筋、輪状咽頭筋、そして軟口蓋からの口蓋咽頭筋、の3か所と言われています。
軟口蓋咽頭筋と共に、更に首側から喉頭にある筋も引き上げ筋となっているらしいから合計4か所。
舌根は舌骨筋となり、これは引き下げではなく、引き上げ筋として働くのだそうです。
いずれも、フースラーのSingenを参考にこのことを書いています。
ここで言いたいことは、喉頭が引き上げ、引き下げ、いずれによっても、その関係において一種のテンション(緊張)が働くからこそ、
声帯が良い状態になって、良い響きが出されるというメカニズムのことなのです。
大切なのは、良いテンション(緊張)が必要なのであって、たとえば「喉は下げなければならない」のではなく、
引き上げ筋と引き下げ筋との協力で働く最善のテンションを探すべきなのです。
歌っていれば判ることは、良いテンションが喉を保持する筋群に働けばこそ、喉を使った気がせずに最大限の響きが得られるのです。
そのことを得るために、これらの生理的な働きを知っておくことは、無駄ではないでしょう。
さて、これらの筋群は、声楽をしない限りは、ほとんど働かないか、感知されない筋群です。
おおむね呼吸や肉体労働と関係しているから、意識されずに使っているのでしょう。
皆さん、特に脱力ばかりに目が行く人に言いたいのは、筋肉が働くためにはその筋肉にテンションをかけることが必要ということなのです。
緊張(テンション)を作るから、筋肉が反応するわけです。
そもそも、最初に緊張がまるでないのに反応しようがない、と思いませんか?
声楽で正しい姿勢が大切、という意味は、このことだけに限っても、とても意味があることだと思います。
例えば、輪状咽頭筋など、まったく訳が判らない筋肉ですが、すくなくともうなじを上下に真っ直ぐに立てるようにし、顎を引いた真っ直ぐな姿勢をして声を出してみれば分かるが、
明らかに、それだけで喉頭が下がったことが判るはず、です。
下がる、というか、発声のせいで上がろうとしない状態を作るのです。