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幼稚園に入ったばかりの頃だったか、ジフテリアと言う病気に罹り急死に一生を得たらしい。
そのときの入院した病室の黒い窓を眺めていた記憶が残っている。
それから後、小学校の3年生くらいまで、年に1~2度は必ず熱を出す子供だった。
熱にうなされると、自分の腕だけが、何か巨大な重たい鉄の塊のような物体に成り代ったような錯覚に陥った。腕を動かそうとしても重くてまるで動かなくなるのだった。
だが、そんな感覚を楽しむような余裕さえあったことも良く覚えている。
そういえば、ジフテリアで入院する直前、それはもう6月の梅雨時だったか?
熱を出して寝ていると、会社帰りの父が、かごに入った蛍をおみやげに持ってきてくれこと。
暗い寝床から、枕元でほんのりと青く光っている蛍の明滅をいつまでも飽かず眺めていた記憶。だから蛍の光はどうも苦手だ。
今年もそろそろあの蛍の季節がやってくる。