以前にもご紹介した、エリー・アメリンク。
この方のフランス歌曲は、お手本となる要素が多々あります。
好き嫌いは別ですよ。
最近、好き嫌いと、良し悪しを混同される方が多いので困ります。

というか、良し悪しというのも幅が広すぎて、難しい所もありますが。

私がお手本としてここに出せる意味は、この動画はライブ、ということ。
いわゆるCDなどの音源の場合、かなりの確率で補正がかかっていますし、
演奏家としても、録音行為そのものが、ライブで演奏するのとはかなり違う、ということ。

端的に言えば、録音ならお客さんと真っ向から対峙する、という厳しさから逃れられますし、
やり直しが効きますよね?

ライブは一回勝負ですから、録音とどれだけ違うか?演奏を少しでも経験された方なら
良く判ることと思います。

さて、前置きが長くなりました。

この方、声を無駄に押して、大きな声を出し過ぎないで、ホールに届く最善の声に留めていること。
それは、声に頼って、発音が明後日の方に行ってしまわずに、的確にフランス語の発音を表現出来ていること。
ブレスポイントが的確、というかこの曲ではオーソドックス。
最初の有名なフレーズは一息で歌い、後の部分はきっちりブレスで区切っている。

演奏全体でみれば、無理なブレスで繋がずに、必要なところはしっかり伸ばす。

あえて好き嫌いのことを最後に言えば、面白み、個性的な演奏の要素に欠ける面はありますが、再度言いますが、これはライブ演奏です。
ライブでこの場に参加しないと、分からない要素がたくさんあるのです。

CD録音というものは、ライブ演奏とは全く違うものだ、ということ、ご理解いただきたいと思っています。