この曲、音大に入る前に、無理やり暗譜して弾けるようになった曲で、私のフランス音楽体験のある意味原点のような作品です。
弾いてみるとわかるのですが、ほとんどブルース和音系ですね。
それが、バロックの舞踏スタイルにかぶさっていて、これ以上ないくらいラヴェルらしいフランス近代ピアノ作品の面目躍如だ、と思います。

ラヴェル「クープランの墓」よりフォルラーヌ

ラヴェルのラディカルなところは、こういうことです。
ドビュッシーと決定的に違いますね。ドビュッシーはスタイルそのものが革新的なところがあるけれども、ラヴェルはスタイルはあくまで古典美を守る。
スタイリッシュなんだな。
ラヴェルの家に行ってみるとわかりますが、生前の洋服類がきちんと並べられていて、とてもお洒落だったことがよくわかります。

しかしどうも聞いていて思うのは、聞くよりも演奏するほうがおもしろいし美しさを感じられること。
もしかすると、フランス近代の音楽の一面的な特徴かもしれないですね。