月曜日のこと、大学時代の恩師である、近藤充弘先生の訃報が届いた。
そして、今日は通夜であり、葬儀に出席できそうもないので、通夜に出た。
近藤先生は、さすがに合唱団をたくさん指導していたこともあり、大勢の弔問客で会場は一杯だった。
焼香が終わり、皆で大合唱になり散会となった。
終わってから、先生の奥さまとお嬢様にご挨拶。
先生の奥さまは、ぼくが大学時代と全く変わらず。
先生の思い出といえば、先生の最初で最後のリサイタルの日、ヤマハホールまでの行き帰りを、生意気にも車に乗っていた自分が仰せつかった。
そんな思い出がつい昨日のようで不思議だ。
先生の基では、実はイタリア歌曲とオペラアリアを中心に勉強をしていた。
それも先生のお好きだったヴェルディばかり。
ヴェルディの歌曲も良く歌ったし、オペラは、椿姫、ドン・カルロ、マクベス、トロヴァトーレ等々、良く練習した思い出がある。
最近、先生の訃報に接する数日前から、何とはなく楽譜を出して練習していたのが、これらのオペラアリア。
先生からの虫の知らせだったのだろうか。
ヴェルディの作品は、大学を出てからは、ほんのわずかしか本番で歌った記憶がないが、歌いだすと体の芯に残っている熱い記憶がよみがえってくる。
これから、また時間をかけて勉強しなおそうと思いなおした。
最後に棺に眠られる先生のお顔を拝見したが、驚くほどやせていた。
いつも思うが亡骸とは良く言ったもので、正に魂はどこかに行ってしまうのだ。
帰り際には、何十年ぶりに会う同門の人たちとの懐かしい会話。
あるいは顔を覚えているのに、名前が思い出せない人たち。
自分の心は何十年も変わらぬものを持っているつもりが、世の中は何十年も進んでしまったんだ、という何かねじれたような感覚が。
でもよくよく己が姿を鏡で見れば、その何十年がにじみ出ている現実に直面。
両親、そして兄、先生、そして自分だ。
死ぬまでに何かを成し遂げたい、という気持ちが募ってくる。
改めて近藤先生のご冥福をお祈りします。合掌。