ペレアストメリザンド
もう一つは、カミーユ・モラーヌのペレアス役。
メリザンドは、エルナ・シュポーレンベルクという方。
声量は犠牲にしても、これほどまでに美しくフランス語を歌える歌手は、そうはいないですね。
と思いました・・・
モラーヌさんは古典的な発声が表現する美学よりも、フランス語が歌に乗ることの美しさを取ったのだ、と改めて思いました。
恐らく「ベルカント」や「正しい発声」と呼ばれるものの基礎の基礎は持っていたけれども、音楽のスタイルにまで関係してくる部分においてフランス(ドビュッシー)的ではない、あるいはフランス語の響きには合わない、と彼が考えた歌唱スタイルは、積極的に捨てたのだと思います。
正にそれこそが、ドビュッシーの望んでいたことなので、当然といえば当然ですが。
語弊を恐れず言いますと、先生のレッスンで一番記憶に残っているのが
「いいんだ、いいんだ!レガートになんて歌わなくて・・・もっともっと語るように!」という言葉です。
それにしても、ドビュッシーの音楽(伴奏部)が実に饒舌であることに気づかされました。
いやそれは声のせいかもしれませんが。
歌よりも伴奏が場面と心情を解説しているみたいです(笑)