エリー・アメリンクのフォーレの歌はいいですね。衒いがない。それでいて上質な要素が歌声にも歌い回しにも感じられる。
素朴な味わいを持ちつつ、クラシック音楽の良さである豪華さをも持っている。
いかにも、衒いがない、ように歌っています。
いかにも、素朴、そうに歌っています。
いかにも、明るく素直に歌っています。
ではなく(笑)
歌、というのは単なる演技(だけ)では通用しない、と思います。
ひたすら歌声に集中して歌うこと、が鍵ではないでしょうか?
何かを表現しよう、と思った瞬間に歌が駄目になる、のではないかな?
特にフォーレの歌曲は、そういう要素があります。
抽象的な表現で申し訳ないですが、
聖書に「まずしいものは幸いである」というキリストの言葉がありますが、
まずしさゆえの美しさ、という要素、とでも言えましょうか。

フォーレのフランスらしさ、とか、偉大さ、というのはそういう面だと思っています。
この曲、楽譜のテンポ指示は四分音符=66で、市場に出回っている録音より
はるかに遅いですね。
それで、この録音が88くらいですね。
Andante,quasi allegretto
と書いてありますが、大ざっぱな指示も甚だしい(笑)
レッスンでやってみましたが、声の扱い方次第で72でも可能ですね。
私は最近、この曲はそれほど速くない方が良いのではないか?と思い始めました。