昨晩は、久しぶりにオーケストラのコンサートを楽しみました。
オケは東フィル。指揮者はオリバー・ナッセン。
武満徹80歳記念と銘打ったプログラムで、ウェーベルンの6つの管弦楽的組曲、そして指揮者のオリジナル作品。
武満の作品がRiver run とAsterismの2曲。そして、最後にドビュッシーの「聖セバスチャンの殉教」アンドレ・カプレ編曲に依る管弦楽楽のみの「交響的断章」です。
驚きだったのが、1000名ほど入るこのタケミツメモリアルホールがほぼ満席になったこと。
何が人気だったのか?想像以上に武満のファンが多いのか?ピーター・ゼルキンのファンか?
オリバー・ナッセンのファンか?良く判らないけど、下馬評では空席の目立つコンサートか、と
勝手に思っていましたが、裏切られて良かったです。
ウェーベルンは美しい響きが点描のよう、寡黙でありながらひそかな情熱を醸し出します。
絵で言うとクレーですね、これは・・・
ナッセン氏のオリジナルは、武満の作品と見紛う音の気持ちよさでした。美しい音の連なりが明るい彼の人柄を
表現しているように思いました。
さて、今回のお目当てである武満のRiver runは、録音で馴染んだこの曲の良さがあまり感じられず、残念な結果でした。私の持つ録音は1988年で、同じくナッセン指揮によるロンドン・シンフォニエッタですが、テンポが軽快で構成感が良く出ていました。しかし今回はテンポが鈍重で構成が全体に平板。管の繊細さがなく、色彩感に乏しい演奏でした。
Asterismは、ものすごい音楽的パースペクティヴ。圧巻はトゥッティにシンバルの連続する響きがかぶさるのが
1分くらい続くところ。この曲はピアノのピーター・ゼルキン氏と指揮者共々3回のカーテンコール。
まあ、ダイナミズムのある判り易い曲です・・・
さて、最後のドビュッシー。これも楽しみにしていました。
結論は、録音それもLPレコードでしか知らないこの音楽の響きを、ライブで味わえたことの感激です。
しかしながら・・オケのクオリティにおいて、少々残念な結果でした。
弦は綺麗でしたが、管が不揃いだったり、ピッチが狂ったり。ホルンは難しい楽器だと思いますが・・・
オーケストラはつくづく管楽器だな~、と思わせた一晩でした。
ところで、聖セバスチャンの殉教の3番の最後のフォルテで終わる主和音の後の沈黙で、携帯の音楽を鳴らしてしまった
女性がいて、心底、興ざめでした。
酷くがっかりでした。
つくづく、この現代の利器のバカバカしさを感じた一晩でもありました・・・