このところ、自分のプログラム作成が大変で、レッスンノートを休ませてもらってます。
来週辺りから、再開できると思います。
今回はミケランジェリの弾くドビュッシー「水の反映」です。
ドビュッシーのピアノ作品が持つ即興らしさが出たプレイですね。
この曲はIn tempoできっちりと弾いても、響きが良ければ、作者の意図が充分出ます。
この録画は音が良くないので、最初の和音上昇のルバート気味なフレージングが
少し下品に聞こえますが、これは音のせいでしょう。
実際にホールで聴けば効果抜群だと思います。
ドビュッシーは子供の頃にピアノで天分を見出され、コンセルティストを目指しましたが、
保守的であらねばならないプレイヤーには向いていないことが、伴奏科での1等賞を
得たことで判ったのでしょう。
作曲に移って天分を発揮できたことで、世界にとっての大きな遺産となりました。
今回、ドビュッシーのコンサートをやるにあたって、改めて評伝など読んで判ったこと、
というか、私なりのドビュッシー像がはっきりして来ました。
彼にとっての恋愛と女性は、創作のエネルギーとして欠くべからざる
大きなものだったに違いありません。
作曲家としての前半生で「ペレアスとメリザンド」を作ったことで、彼としてはあらゆる
犠牲、悪名を払ったとしても、彼なりの始末をつけたのだと思います。
彼は間違いなく、己をペレアスに投影していたと思います。
その後、交響的素描「海」を作ることで、自分の新しい船出を寿いだのでしょう。
56歳という短い人生でしたが、誰よりも精いっぱい人生を生きたドビュッシーを今回の
コンサートに先駆けて知ること、判ることが出来たのは、私にとっても大きな
意味のあることでした。