最近はまっている音楽。
色々あり過ぎて困るけど、我ながら面白いなと思うのが武満徹のオーケストラ作品。
例によって講釈嫌いなので、いきなり聴く。
それも、家で聴かないで、車で聴くのが良い。
眼前、それはウィンドシールドだが、そこに拡がる都会の風景でも良いし
高速道路が延々と伸びる田舎の風景でも良い。
そんな眼前の風景を見て運転しながら聴く、武満のオケ作品の美しさは、また何とも言えない魅力がある。
特に最近はまったのが、1984年作曲のRiverrun「リヴァラン」だ。
古典的な形式で言えばピアノ協奏曲ってやつだろうか。
ピアノの響きがとても美しい。
そしてオケのサウンドが晩年の武満らしい、ロマン溢れる雰囲気。
自然からインスパイアされて作られているのだろうけれど、実際の自然にはあり得ないシュールな、しかし確かに美しいと思わせる景色が見えてくるところが
武満作品の美しさだと思う。
映画音楽の職人芸が活きているのではないだろうか。
と、一言では言えないのだけど、ヴィジュアルな音楽だと思う。
どこかシュールでありながら、悦楽的でもある。
彼の音楽と言うのは性的なものなのか?あるいはもっと聖なる世界なのか?
良く判らないところがある。
俗に言う人間臭くない、のだけど、どこか悩んでいる姿が見えるような。
いずれにしても音楽という芸術くらい、人の脳みその中の、ある種の構造が見える芸術も珍しい。
そういう意味でも、武満の作品は興味深い。
思いつくのは「不幸の只中に見た夕焼けの美しさの記憶」だろうか・・・
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「リヴァラン」
ピアノとオーケストラのための
作曲年1984年
作曲家の言葉
ピアノとオーケストラのための「リヴァラン」は、弦楽四重奏曲(ア・ウェイ・アローン)、ヴァイオリンとオーケストラのための
「遠い呼び声の彼方へ!」と共に、ジェイムズ・ジョイスの「フィネガンズ・ウェイク」に触発された作品である。
それらはまた、水のイメージと深い関わりを持っている。
曲は一つの源流から派生する音楽的支流が、夜の風景を辿って、調整の海を目指して進んで行く。単純な信号ともいえる動機、長3度と
長7度の音程が次第に離散し、さまざまな旋律的亜種を生んでいく。それらはときに対立するが、かならずしも弁証法的な展開を取らず、
常に生成し、消え、また回復する。